日本人は4人に1人は慢性頭痛の経験があるといわれています。
わたし(ロース)自身、去年の5月にとても強い頭痛がおこり、救急へ行き検査して、仕事も5日間も休んでしまったという経験があります。
このように頭痛にも急性、慢性の頭痛があり、その中にもそれぞれ生命の危険性の高いものからいわゆる頭痛と言われるものまで 西洋医学と中医学の両方面 から原因、診断方法、治療方法、ケアの仕方と考えていきます。

<西洋医学的分類>
頭痛の原因はとても多いのですが、まず器質的疾患(形のある実質の異常)によるものと器質の問題以外の機能性頭痛(慢性頭痛)とに大別 されます。
器質的疾患には鼻や目の病気、そして脳の病気が原因となり頭痛が発生するものがあります。
それぞれ簡単にではありますが説明させていただきます。

○ 器質的疾患による頭痛
まず、注意しなくてはいけないのが頭痛で危険性の高いものとして脳の病気による頭痛があります。
一般的には頭痛の95%のものは脳の病気とは関係がありません。しかし、このうちの脳の病気の場合は放置しておくと危険なものがあります。

・ クモ膜下出血による頭痛
クモ膜というのは脳を包んでいる3層膜の真ん中のことで、脳動脈瘤破裂によりその膜の間に出血をして脳を障害してしまいます。生命に関わりますので、緊急の処置が必要です。
ポイントとしては40歳前後を過ぎてから突然ガーンと強い頭痛が起きるようになったり、休んでいても頭痛が緩和しなかったりした場合は念のためにも、まず現代医学による受診をしてください。

・ 髄膜炎による頭痛
髄膜炎は脳と脊髄を包む膜が細菌感染により炎症を起こす病気です。発熱と首の後ろ側が硬くなり顎を胸に付けられなくなる(項部硬直)症状が特徴です。風邪と間違われやすい。

・ 脳腫瘍
脳の中に腫瘍ができた状態。特徴は徐々に痛みの強くなる頭痛。吐き気を伴う。比較的朝方に痛む。などがあります。

これらの症状があった場合は、まず一度は精密検査が必要と思われますので早めに医療機関での受診をしてください。

その他、器質性頭痛の中で脳以外での問題は、鼻の問題として副鼻腔炎からの頭痛ではおでこ辺りの痛みがあり、緑内障などでも目の周囲の頭痛などがあります。顎、歯科の問題、噛み合わせなども影響します。これらはそれぞれ鼻、目、口腔の病気の治療により頭痛が改善されます。

○機能性頭痛(慢性頭痛)
慢性頭痛は3つに分類されます。緊張型頭痛、片(偏)頭痛、群発頭痛に分かれます。

●緊張型頭痛
慢性頭痛の中では一番多く、約3分の2がこの緊張型です。
原因―肩こりなど首の後ろ側の筋肉が緊張して、筋肉の中を流れる血流の量 が減ったり、神経を刺激したりして痛みをおこす。
ストレス、睡眠不足などが誘引になることが多い。
症状―頭全体や後頭部から首すじをベルトで締め付けられるような痛みがでる。痛み自体は中等度で日常生活はおくれる。めまいが出る人もいる。痛みは数日間続くことがあります。
治療―アスピリンなど一般的な鎮痛剤が処方される。また、緊張やストレスを取り除くために生活習慣、睡眠不足の改善をしたり、姿勢に気をつけたり、軽い運動が必要である。
 原因の緊張を改善させずに薬で痛みをとるだけでは、身体には負担がかかるだけなので、 鎮痛剤だけに頼らないように注意が必要である。

●片頭痛
次に多いのが片頭痛です。日本では100人中約8人が片頭痛持ちです。
原因―現在では、三叉神経血管説がもっとも有力になっています。三叉神経とは側頭部から顔まで伸びている神経ですが、その神経が頭の血管を取り囲んでいて、なんらかの原因でセロトニンという血管を収縮させる物質が減少し、その結果 、血管が拡張し神経が刺激されると痛みがおこります。
症状―片側に起こることが多く、拍動性(ズキンズキンと血管が拍動するようなリズム)の痛み。痛みは強く、生活に支障がでることもある。女性に多い。頭痛の発作は3〜72時間ほど持続します。音やにおい、光に敏感になる。吐き気や嘔吐がある。ワインやチョコレートで誘発される。発症のピークは20〜30歳代で40歳以降の発症は少なくなる。視野がキラキラ光る前兆がでることもある。遺伝性がある。  など多くの特徴があります。
※ 片頭痛が女性に多いのは、エストロゲンといわれる女性ホルモンの影響があるからと考えられています。そのため、月経前に痛みが出たり、閉経前はエストロゲン分泌が不安定になり痛みのコントロールが困難になります。
治療―トリプタン系の薬が有効です。
カフェインを取ると血管が収縮しますので、コーヒー、お茶などが痛みを少し緩和させます。

●群発性頭痛  (群発とは繰り返し何回も発生するということです)
頭痛の中では少ない部類になり圧倒的に男性に多い頭痛です。
原因―群発頭痛の原因はまだはっきりとはしていませんが、発症には、片頭痛と同じくセロトニンという物質がかかわっていると考えられています。
症状―片側の目の周囲に突き刺すような激しい痛みがでる。30歳以上の男性に多い。痛みが強く寝ていても痛みで目が覚めることがあります。
一回の頭痛は15分〜3時間続き、数週間から数ヶ月群発します。
頭痛と同じ側の目が充血したり、むくんだり、涙や鼻汁がでたりします。
治療―片頭痛に使用するトリプタン系の薬が有効です。
酸素吸引が有効です。アルコール、喫煙は禁止です。
体内時計が崩れると起こりやすいので、睡眠に気をつけます。


<中医学的な考え方>
中医学では、人と自然との間の密接な関係を重視します。
自然界に空気、水、火があるように人間の身体の中でも気があり、水が川の様に流れ、海があり、火は上昇する…という同じような現象があると考えます。

中医学の中の経絡とは身体の中を流れる川や道路のようなもので、身体中に栄養を送ります。

○中医学での頭部
中医学では頭は人間の身体で上方に位置しているので、陽に属します。そして「諸陽の会」と言われ、頭部で手足の経絡の陽経が流れ、交わります。
山の頂上が頭で麓(ふもと)が手足だとすると、麓から東西南北の登山道があって、その登山道が山の頂上で交わるようなものです。
経絡の流れは東西南北のように前頭部(おでこ)、側頭部、後頭部(うなじの辺り)、頭頂部(頭のてっぺん)と支配している場所により分けることができます。

また、「五体の尊、百骸の長、中には脳髄を蔵し、脳は元神の府である」と言われ、これは、頭がとても重要で、脳が記憶したり、精神活動をしたりする大事な器官であるということです。

他の臓器の関係もありますが、頭の経絡に気血がちゃんと流れていると、記憶力も良く、精神的にも安定します。 
逆になんらかの原因で気血の流れが悪くなると、記憶も悪く、精神的にも不安定で、痛みも起こります。

中医学で「痛み」とは
1.気血の流れが滞り痛む…「不通則痛(通らざるもの則ち痛む)」
2.気血がおとろえて痛む…「不栄則痛(栄えぬもの則ち痛む)」
この二つの状態で起こります。

頭痛も頭の経絡で気血の通りが悪くなるか、気血がおとろえて頭を栄養できなくなるかによって起こります。

○ 中医学での頭痛の種類

頭痛の原因となるものは大きく2つに分かれます。
一つは外界からの影響ともう一つは身体の中からの変化です。前者を外因といい、後者を内因といいます。それぞれ、症状、治療法に違いがありますので分けて考えていきます。

●外因による頭痛(外感頭痛)
外因の中には風、熱、湿、燥、寒の気があり、字に表れるように自然界の気候の変化が人体に影響を与えるのですが、これらが身体に悪い影響を及ぼすことになると、邪気(外邪)となります。

このなかでも頭痛に一番関係の深いのは風邪(ふうじゃ)です。風邪は身体の上部を犯す性質があります。
風邪は度々他の気と一緒に皮膚や鼻、口から侵入し、頭部の経絡の流れを悪くし痛みを起こします。

症状―頭痛、風に当たることを嫌がる、首から背中にかけても痛む、感冒に似た症状がでる などがあります。    
痛む場所は侵された経絡の場所により様々です。
治療―針治療では、風邪とその他の邪気をはらい去ることと痛みの出ている場所、経絡の流れをよくすることが必要になります。経絡の流れをよくする時は、痛みの出ている頭(山の頂上)を直接治療して流れをよくするのと、登山道を利用するように手足のツボを利用して流れをよくする事を同時に行います。
食べて治す―感冒のひき始めのような悪寒がある場合は、ネギやにんにくを使った料理で除菌、発汗させましょう。熱っぽさがある頭痛には菊花茶

● 肝陽頭痛
肝陽による頭痛とは 怒った時に頭が一気に熱くなったり、ストレスなどでイライラが過ぎてカーッとなりやすい状態から起こる頭痛のことです。
中医学での肝とは気をスムーズに流す作用があるのですが、同時にストレスや精神状態に左右されやすい性質があります。
ストレスは溜め込みすぎるといつかは爆発しますが、肝気も滞るとじきに火の性質に変化します。火は性質として炎上するので、上に上がり頭部への影響が多くなります。
症状―頭痛、めまい、顔面が赤くなる、ストレスの影響を受けやすい などがあります。
治療―針治療では頭の痛みの出ている経絡を治療することと、上がってしまった肝火を下げて落ち着かせるようにします。鎮火をするために水の性質のツボも使います。
食べて治す―セロリや菊花茶がおすすめです。できるだけ生にちかい物がよい(ただし、月経不順など血液に関する症状がある場合は控えてください)

● 痰湿頭痛
痰湿とは 体質的にやや太めだったり、甘く油っこい物を好んで食べたり、食生活が不規則になったりすると発生します。
水分(水液)代謝の障害により産生されます。
痰には目に見える、いわゆる痰と見えない痰があります。性質としては、咽につまる痰のように経絡に留まると気血の運行を悪くします。
痰湿により頭の方へ流れる経絡を阻滞(とどこおる)させられると痛みが生じます。
症状―頭痛、頭が重くボーっとする、胸がつまるような苦しさがある、痰が出る などがある。
治療―針治療では痛みの出ているところの治療と、痰を溶かして消失させる必要があります。痰は水液代謝の障害により産生されるので、水液をコントロールしている臓腑、水液を貯蔵している臓腑などを調整します。
食べて治す―油っこいものは控えましょう。

● 血オ頭痛
血オとは 血液の流れが悪くなり滞った状態です。外傷の後に血オになったり、また頭痛が他の原因で発生し、それが長期にわたり気血の流れを悪くし血の滞りを起こしてしまった結果 、血オ性の頭痛になる。
症状―刺すような、頑固な頭痛、痛みの場所は固定されている。
治療―針治療では痛む場所の治療と、血に本来の流れる力を取り戻すようにします。 
また、気は血を押し出す作用があるので、気の力を強くするツボも一緒に使う必要がある。

● 血虚頭痛
血には、全身を栄養して潤す作用がある。
血虚による頭痛とは 頭や脳髄を栄養する血が足りなくなってしまったために「不栄則痛」で痛みが出ている状態です。
長く病気をして体力が落ちてしまったり、なんらかの原因で失血をしてしまった後に起こります。
症状―弱い頭痛が続く、めまい、疲れると痛む。
治療―針治療では、身体が虚している状態の場合は痛む場所よりも補うことに重点を置く。            
血虚の場合は血を補うのがメインだが、血の産生に気は不可欠なので、このような慢性疾患は血と同時に気を補う必要がある
食べて治す―ほうれん草をゴマ油で炒めたものが養血作用があります。

● 腎虚頭痛
腎虚とは腎精不足の状態です。
腎精とは脳髄の元になっているもので、腎精が不足してくると脳が空虚になるような頭痛になります。先天的な虚弱体質、高齢や慢性の病気によるもの、夜の生活の度が過ぎた時に起こります。
症状―頭が空になったような感覚の頭痛、めまい、腰や膝に力が入らない、耳鳴 などがある。
治療―針治療では メインは脳髄の元になる腎精を補う治療をする。
食べて治す―山芋、ウドがおすすめです。擦りゴマ入りのホットミルクもいいです。

〜〜 夏に冷た〜いカキ氷なんかを食べた時におこるツーンとくるあの頭痛 〜〜〜〜〜 話は少し脱線して、カキ氷頭痛について考えてみます。
これは、頭に通じる経絡の中の(陽明)胃経に関係していると考えられます。胃経は鼻の脇より始まり、目の内側やこめかみ、額の辺りまで流れ、それから下って胃を通 り足の方まで行きます。つまり経絡上では、胃と鼻の脇はつながっています。そして、カキ氷など寒の性質のものには「凝滞」といって凝結させ滞らせる作用があるので、冷たいものを一気に胃に入れるということは胃経の気血のながれを滞らせたと考えられ、ツーンとした痛みがでるのだと考えられます。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○ 梅干をこめかみに貼り付ける
梅には収斂作用があり、肺、肝、脾、大腸に関係するのでこめかみに貼り付けることで経絡の流れをよくするのと同時に流れをよい意味で引き締めるために痛みを緩和することができると考えます。

このように、中医学では個々の体質、状態にあわせて治療していきます。
慢性頭痛で身体、精神に負担をかけて生活していくのも、また、生活や体質をかえりみる事なく鎮痛剤だけを使っていくのも、あまり関心できることではありません。

慢性の頭痛がある方は、生活習慣の改善指導も含めた治療をおすすめ致します。

また、東洋医学の中医学治療を詳しく知りたい方は、
お気軽に当院までご相談下さい。
中医学は一般の痛い所や局所に針を打つのとは違い、体質判断や病気の成り立ち、起因を追求して行き症状の改善を根本から行って行きます。

 


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