皆さんは「虚弱体質児」と聞いてどんな症状が思いつきますか?
顔色が悪い、疲れやすい、動作が緩慢、神経過敏、よく吐く、胃腸が弱い、アレルギー、食欲不振、病気にかかりやすい、やせている、すぐ頭痛や腹痛を起こす、他の子と比較して成長が遅い・・・などなど、
一口に虚弱体質児と言っても様々な症状がでてまいります。
では早速、虚弱体質児について、いつものように西洋医学の見地から説明してまいりましょう。


★★西洋医学から診た虚弱体質児★★
実は西洋医学では「虚弱体質児」という病名はありません。
なぜなら虚弱体質という言葉はあまりにも大きな括りになり過ぎてしまっているからです。
西洋医学の場合、病気と判断されるものは、その症状が実際に治療が必要なものかどうかを基準にしているからなのです。

では、実際に西洋医の先生はどのように虚弱体質児の治療を行うのでしょうか。
通常の場合は、患者さんの診断を行い、その症状の原因が何らかの疾患に基づくものであるとわかれば、 その病気に対して治療を行います。
西洋医学的に治療が必要と判断される疾患には次のようなものがあります。
◎「アレルギーなどの慢性疾患」
◎「小児神経症」
◎「自律神経失調症」
◎「内臓疾患や脳神経障害」
◎「精神症」
上記の疾患が原因となっている場合はこれらの疾患に対する治療を行うわけです。

ですから、虚弱体質児の治療というよりも、基本的には西洋医学の基準で病気と判断された症状に対して、その病気の治療が行われていると言った方が近いかもしれません。
では、上記の疾患が原因となっていない場合で、医師が治療の必要がないと判断された場合はというと、これといって治療が行われない場合や、乾布摩擦などと言った鍛錬的な指示が出る場合もあります。
冒頭でも述べましたが、西洋医学には「虚弱体質児」という病名が無いわけですから当然と言えば当然ですね。

しかし、虚弱体質の症状に含まれるものの中には、医師が治療の必要がないと判断するものや原因が特に無いというものも少なくありません。
では次に中医学ではどの様に虚弱体質を捉えるのかを説明してまいりましょう。


★★中医学による虚弱体質児★★
中医学も西洋医学と同様に「虚弱体質児」という疾患名はありません。
理由もやはり西洋医学と同じで「虚弱体質」と言ってしまうと、余りにも大きな括りになってしまうからです。
そこで今回は中医学の疾患の中から「疳積(疳証)」について説明をしたいと思います。
一般の方にはあまり聞き馴染みのない疾患だと思いますが、4大小児疾患の1つと言われており、成長発育に影響をおよぼしたり、アトピーや花粉症といったアレルギー疾患に発展することもある疾患です。
あえて現代西洋医学の病名に照らし合わせると、概ね以下の疾患が類似しております。
「栄養失調」「慢性消化不良」「後期の小児結核」「寄生虫感染症」


★中医学の基礎概念★
さて、今から中医学の説明に入りますが、中医学も現代医学と同様に医学です。
医学である以上そこにはしっかりとした学問体系や理論が存在します。
医学には正常な身体の状態を考える『生理観』(現代医学では生理学や解剖学など・中医学では臓腑学や経絡経穴学や気血津液学など)というものがあり、その上に病気の成り立ちを考える『病理観』(現代医学では病理学・中医学では病因学説や病機学説)が存在します。
つまり、病気を理解するためには、まず正常な身体の仕組みや構造を理解しなければ病気を理解することは出来ません。ですから、まずは中医学の生理観を理解しないと、中医学から見た病気も理解することは出来きません。
しかし中医学の生理観は現代医学のそれとは全く異なった考え方をし、とても奥深いものですので、とりあえず今回は「疳積」に関係するものだけにしぼって説明をさせていただきます。


▼中医学の生理観▼
≪気・血・水≫
中医学では人の身体は「気」「血」「水」の三つの物質により構成されると考えます。
そしてこれらが多くも少なくもなく適量でバランスよく、且つスムーズに流れてこそ健康でいられると考えます。

<気>
気の主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。
「疳積」では、栄養不良により「気」が作られなくなり、「栄養作用」や「固摂作用」が失調することがあります。
「栄養作用」が失調すれば全身は栄養されず、エネルギー不足をおこします。
又、「固摂作用」が失調すると体内から余分な汗がでたり、失禁を起こしたりします。

<血>
血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。
ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。
ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。
また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

<水(津液)>
水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。
主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。


《内臓(五臓六腑)》
さて、次は内臓です。
よく「五臓六腑にしみわたる」などといいますが、この五臓六腑が東洋医学の考える内蔵のことです。
西洋医学のそれとは異なり中医学では内臓を物体として区別するのではなく、 働きで区別します。
六腑は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。
具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。
先程の働きの他にも五臓六腑には沢山の働きがあります。
しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。
それは、西洋医学と同じ臓腑の名前を使ってはいますが、冒頭で説明したように中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。
私もそうですが、こういったところが皆さんが混乱してしまうところだと思います。ですから、今から「疳積」に関係のある臓腑ついて説明をいたしますが、名前が同じでも西洋医学のそれとは違う物という認識で(別 物と思って)これから先を読まれた方がよろしいかと思います。

さて、今回は各臓腑の説明に入る前にちょっと角度を変えて、飲食物が口から入った後どの様な臓腑とどの様に関係し排泄されるのかを、中医学の視点から簡単に説明したいと思います。
やはりこの流れも西洋医学とは違う概念がありますのでイメージだけでもつかんでおいて下さい。


〈飲食物の流れ〉
1.口から入った飲食物は先ず「胃」に運ばれます。

2.胃は飲食物を受け入れ(受納)、初期消化を行い(腐熟)消化された飲食物を「小腸」に送ります(和降)。

3.次に小腸は送られてきた消化物を、人体に必要な物である「水穀の精微」(清)と不必要な物である「糟粕」(濁)に分けます。この働きを『必別 清濁』と言います。
次に、小腸は「水穀の精微」を脾へ送り、糟粕を水分とそれ以外に分け、それぞれを膀胱と大腸へ送ります。

4.脾は送られてきた「水穀の精微」を栄養分として吸収して肺へ送ります。この働きを「脾の昇提作用」といいます。「昇提作用」とは、エネルギーを上へ持ち上げることを指す言葉です。

5.肺は送られてきた栄養分を全身へ散布します。この働きを「肺の宣発粛降作用」といいます。

6.一方、膀胱と大腸は、それぞれ小便・大便にして体外へ排出します。

以上が中医学が考える体内での飲食物の流れになりますので、上記をふまえて以下の臓腑の生理を読まれると理解しやすいと思います。


『脾』
脾の生理作用としては、運化を主る・昇清を主る・統血を主る・肌肉を主る・四肢を主する などがあります。
この中で「疳積」と関係がある作用は、運化作用です。
運化作用とは「消化・吸収・運送」のことです。
因みに「運化」の「運」が運送を意味し、「化」が消化吸収を意味します。
さて、ここでもう1度「飲食物の流れ」を思い出してみましょう。
口から入った飲食物は胃に送られ、次に小腸で「必別清濁」され、脾や大腸や膀胱へと送られ、脾から肺へ、肺から全身へ、一方、大腸や膀胱から体外へといった流れでした。
この一連のながれを「運化」といいます。
つまり、脾の働きは「運化を主する」わけですから、この一連の流れ全ての管理を脾が行っているのです。
ですから、けして小腸から「水穀の精微」を受け取ってからが脾の仕事ではありません。
このような考え方が中医学独特の考え方で、先程書いたように、内臓を物体として捉えるのではなく、働きとして捉えているところなのです。
さて、ここで「脾の昇提作用」に注目をしてみたいと思います。
脾の昇提作用とは栄養分を肺まで送る働きでした。
ところで、脾のある場所から肺に栄養分を送るということは、言い代えれば栄養分を肺まで持ち上げるということになります。
ですから、持ち上げる物は出来るだけ軽い方が効率が良いわけです。
ところが何らかの原因により体内に余分な水分が溜まると、その湿気が体内の様々な物を重くしてしまいます。その結果 、運化作用の機能低下が起こります。
又、運化作用が低下すれば当然、食欲不振や下痢が起こります。
上記の理由から「脾」は湿気をとても嫌いますし、湿気にとても弱い臓器ということになります。
又、「甘は先ず脾に入る」と言われ、甘味には脾胃を調和してくれる作用がありますが、甘味の食べ過ぎは湿を生み、脾胃を損傷させ作用低下をまねきます。
これは「疳積」の機序になる大事な部分ですので是非覚えておいて下さい。


『胃』
胃の主な働きは、先程も説明したように、飲食物を受け入れ、初期消化し、小腸に送るという[受納・腐熟・和降]の3つの働きがあります。
1.胃は先ず飲食物を受け入れます。・・・このことを「受納」といいます。
2.次に、初期消化をします。・・・・・・このことを「腐熟」といいます。
3.最後に消化物を下にある小腸に送ります。・・・このことを「和降」といいます。


『脾・胃の働き』
ここで脾と胃についてもう一度まとめてみましょう。
脾と胃はとても深い関係にあり、「脾」は良いものを上へ持ち上げ体全体へ回し、「胃」は不要な物を下方へ下げ排出させています。
このように両内臓は互い協力し合い飲食物から栄養物を摂取し、「気・血・水」を作り、全身へ供給しているのです。
つまり、脾と胃は「消化吸収」に非常に重要な役割をはたしているわけです。
人が生命活動を維持するためには脾と胃が正常に機能するということがとても重要になってまいります。


『心(しん)』
心の主な作用は血の循環と精神活動の統括になります。
精神活動の統括は「疳積」の随伴症状に関係があり、心が損傷されると精神活動が不安定になってしまいます。その結果 、不眠や精神不安といった症状が発現します。


『肝』
肝の主な作用は、疏泄を主る・血を蔵す・筋を主る・などがあります。
この中で発熱と関係が深いのは、疏泄作用と蔵血作用です。
疏泄作用には、「気機の調整」・「消化吸収の促進」・「精神活動の調整」があります。
「気機の調整」とは、気血の流れなどスムーズにして体内の機能の働きを促進させる作用です。
次に、精神活動の調節ですが、「心」は精神活動の統括をしておりました、それに対して「肝の疏泄作用」は心の機能を促進させております。
この働きによりリラックスを保っております。
つまり、精神活動は心と肝が協力して行われていると理解してください。


『肺』
肺の主な作用は、呼吸を主る・気を主する・宣発と粛降を主るなどがあります。
宣発とは、気や栄養分を全身へ行き渡らせる働きで、粛降とは、気・濁気・栄養分などを下に下げる働きを言います。
又、肺は鼻と特に深い関係があります。
「疳積」の場合は肺が損傷すると、咳嗽・鼻づまり・鼻水などの症状が出現します。


『腎』
腎の主な作用は、発育生殖を主る・水を主る・納気を主る・などがあります。
また、生体の各臓腑や器官組織を滋養・濡潤する働きをするものに「腎陰」というものがあります。
腎陰は何らかの原因により、不足を起こすことがあり、「疳積」の症状の中にも「腎陰の不足」によるものが出てまいりますので覚えておいてください。


《経絡》
経絡とは一言で言えば気血水を全身の各部位へ運ぶための通路みたいなものです。
経絡の作用は「生理作用」「病理作用」「治療作用」の3つに分けられます。
上記の気血水が流れる経路としての働きが「生理作用」になります。
ところが経絡が何らかの病因物質によって塞がれてしまうことがあります。
経絡は人体を縦方向に走る「経脈」と経脈の分枝の「絡脈」に分かれます。
又、経脈の中には正経12経と言われる経脈があり、これは経脈の中でも特に重要なもので、それぞれ一対の臓腑と深い関係があります。

中医学の生理観はご理解していただけましたでしょうか?
我々が慣れ親しんでいる西洋医学とは大分違っていたと思います。
最初はなかなか理解するのは難しかったり、抵抗があったりすると思いますが、生理観の概念が違うからこそ、西洋医学で治らなかった病気が中医学で治ったりすることがあるわけです。
中医学の基本理論は生命エネルギーの流れと調和にあります。
それでは次に生理観の他に中医学の独特の考え方をするものを少しだけ紹介します。
これも中医学を理解する上でとても大事な予備知識になります。



▼「疳積」を理解するための中医学の基礎概念▼
《病因》
病因とは病気となる原因のことです。
中医学ではこの病因を「外因・内因・不内外因」の3つに大別します。

『外因』とは身体の外の環境が病因となるものをさします。
これらは六淫と呼ばれ「風・湿・熱(火)・暑・寒・燥」の6種類あります。
季節の変化により気候は変化します。
通常の気候の変化は身体には影響がありませんが、急激であったり過剰な気候の変化は身体に負担をかけ病気を引き起こします。
例えば、暑ければ熱中症・寒ければ体の冷えなどが起こります。

『内因』とは過度の精神状態が病因となるものをさします。
これらは「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の7種類あります。

『不内外因』とは内因・外因のどちらにも属さないものをさします。
これらは「不節な飲食・外傷・寄生虫・過労・運動不足」などがあります。
特に「疳積」の病因となるものは「不節な飲食」と「寄生虫」が挙げられます。
「不節な飲食」とは食べ過ぎ・飢え・偏食・不衛生な物の飲食があります。
この中の偏食に注目してみましょう。
偏食には、「肥甘厚味の過食」「辛辣の過食」「生冷の過食」「飲酒の過度」があります。
この中で「肥甘厚味の過食」と「生冷の過食」が「疳積」の病因になりますので少し説明をします。

「肥甘厚味の過食」
肥甘厚味とは、甘い物・味の濃い物・油っぽい物・といった食物をさします。
これらの採り過ぎを肥甘厚味の過食といいます。

「生冷の過食」は生ま物と、冷たい物の採り過ぎを言います。

これらの食物の採り過ぎは湿や痰や熱を生みやすく、脾や胃を損傷させてしまいます。

(今回の「疳積」では「小児期の飲食の不節」も原因になります。乳幼児期の飲食の不節は大人のそれとは内容が若干異なりますので、病因・病機のコーナーで説明いたします。)


《陰陽》
陰陽とは古代中国哲学を構成する物の一つで、中医学にもその考え方は深く影響を及ぼしています。
陰陽だけでも一冊の本が書けてしまう程奥が深いものでありますので、ここでは簡単に説明します。
陰陽とは「全ての事物や現象には相反する二面性があり、これらは対立しあいながら統一し、互いに色々影響しあう事によりバランスをとっている」という考えです。
つまり、陰と陽のバランスが取れていれば自然界や人体は平常な状態です。
例えば、上下・左右・内外・夜昼・男女・静動・・・・・と言った具合です。
この理論に医療実践を積み重ね確立されたものが「陰陽学説」です。
「疳積」の症状に関係のある陰陽としては、寒熱があります。
寒熱を陰陽で分類すると、寒は陰に、熱は陽に属します。
体内で寒(陰)・熱(陽)は互いに抑制し合うことで適度な体温を保っております。
例えば、陽気(熱)が旺盛になりすぎたり、陰気(寒)が少なすぎる(虚)と体内の熱が過剰に上がってしまいます。
逆に陽気が少なく(虚)陰気が旺盛になれば低体温や様々な臓器の機能低下が起こります。
ここで、熱の過剰な上昇に注目してみましょう。
陽気は熱性に属しますから、陽気の亢進は過剰な熱産生になることは想像がつきやすいと思います。

次に陰気ですが、陰気は寒性に属します。
寒性は体を冷す働きがありますので、熱くなりすぎるのを抑制する働きをしているわけです。
もし陰気が減ってしまうと熱を抑えることが出来なくなり過剰な熱上昇がおこります。
中医学では前者のような熱を『実熱』といい、後者のような熱を『虚熱(陰虚熱)又は、虚火』といいます。
このように同じ熱の過剰な上昇という状態であっても、その発生の機序は大きく2つあるわけです。
当然、発生の機序が違えば、症状や治療法(使用するツボや漢方)は全く違ってきます。
陰には当然、「寒」以外にも沢山の特性がありますが、もう1つ知っておいて欲しい働きに、体(内臓・皮膚・関節・など)に潤いを与える作用があります。
そして、これらの働きは腎や胃とかの幾つかの臓腑が関与しています。
ですから、特に1つの臓器の「陰」の働きを示す場合は、「陰」という言葉の前にその臓腑の名前を付けます。
例えば、更年期などの火照り感などは加齢により腎のエネルギー不足が生じ、腎の陰が不足を起こして「虚熱」により火照りが生じます。ですから、この場合は『腎陰』の不足が原因というように使います。
疳積の症状には「腎陰」「胃陰」の不足によるものが出てまいりますので、是非覚えておいてください。
又、「陰虚熱」の特徴的な症状としては、両頬が赤い・寝汗・午後の発熱・などがあります。
体質的に「陰虚」の方や、ちょっとしたことで「陰虚」になりやすい方を「陰虚体質」といいます。


《弁証》
中医学では病気の種類を「証」(しょう)と言います。
その「証」を見極めることを「弁証」と言います。
つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。
もう少し具体的に説明しましょう。
先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームーズに流れていなくてはなりません。
もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。
弁証とは、何が原因で・何が・何処で・どの様に・バランスを崩しているのかを見極めるのです。
皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。
例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的には、みな同じ治療が施されたり、同じ薬が処方されたりします。
しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。
今回の「疳積」でも、幾つかに分類され、すべて処方される漢方薬や、使用するツボも異なってきます。
ですから、「弁証」とは病気を診るものではなく、あくまでも体の中のバランスの崩れを診るものなのです。

さて、実際の治療では、患者さんの弁証が出来たら、次に治療方針を考えます。

《治則と治法》
中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。
治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。
治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。
簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。
つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。
そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。

《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》
『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。
「理」とは理解と言う意味で、具体的には「弁証」により病気を理解することをさします。
「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。
「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。
「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。
つまり、本来の臨床の現場では「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。
逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。
問診もしっかり行わず痛い所やコリが在る所に針を打ったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。
さて、中医学の予備知識もだいぶ頭に入ってきたところで、本題の「疳積」に入りましょう。

 


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