○中医学の治療理論○

《弁証》
中医学では病気がどうゆう種類かということを「証」(しょう)と言います。その「証」を見極めることを「弁証」と言います。つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。もう少し具体的に説明しましょう。先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームースに流れていなくてはなりません。もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。弁証とは、何が原因で・何が・何処で・どの様に・バランスを崩しているのかを見極めるのです。ですから弁証といっても色々な弁証法があります。せっかくですから代表的なもの簡単に紹介してみましょう。

<八網弁証>
八網弁証とは病態を{陰―陽}・{表―裏}・{寒―熱}・{虚−実}に分ける弁証法で病気の性質を見極めるものです。

<気血津液弁証>
気血津液弁証とは気血津液の量や流れ具合などの病理状態を分析します。

<臓腑弁証>
臓腑弁証とはどの臓腑がどのように失調しているのか、臓腑の病理状態を分析します。

他にも代表的なものとして六淫弁証・経絡弁証・六経弁証などがありますが今回は割愛させていただきます。
そして、これらの弁証法はけして独立しているものではなく、一人の患者さんについて必要であれば様々な弁証法を用い、全てを総合させて患者さんがどのようにバランスを崩されているのかを分析するのです。
皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的にはみな同じ治療が施されます。しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。例えば今回のEDについても4つの分類があります。後で詳しく紹介しますが、この4つの分類についても皆さんにわかり易く説明するために代表的な分類法を使用しましたが、もう少し細かく分類しようと思えば9つ位 に分類することが可能です。もっと身近な例だと風邪があります。一言に風邪(感冒)と言っても中医学の弁証では7つ位 に分類ができ、すべて処方される漢方薬も異なってきますし、使用するツボも変わってきます。しかも風邪の場合などは同じ患者さんでも日によって違う弁証になることも珍しくありません。「弁証」とは病気を診るものではなく、あくまでも体の中のバランスの崩れを診るものなのです。

ところで我々はどの様に病態を分析していると思いますか?
針灸の先生が血液を採取したりレントゲンやCTを撮っていると思いますか?我々はそのようなことは一切行いません、その代わりに「四診」という手段を用います。「四診」とは中医学独特の診断法で、顔や舌など見る「望診」・臭いや声などを聞く「聞診」・体に触れたり脈をとったりする「切診」・質問形式の「問診」・の四つの方法から構成され、これら全てを考慮して弁証がでてきます。例えば患者さんの顔色・体臭・皮膚や目や耳の状態・発汗について・食欲・体格・年齢・性格・身のこなし・舌の形や色や苔について・脈の打ち方や早さ・発声・仕事・家庭環境・食べ物の趣味・睡眠状態・排泄物について・生理について・などなど様々なものを参考にします。問診については主症状以外に色々なことを尋ねます。患者さんにしてみれば「何で病気に関係ないことまで訊くのだろう?」と疑問に思う方も多いと思いますが、中医学は病気だけではなく患者さん全体は言うまでもなく、患者さんの周りの環境までも考慮にいれた診断を行います。そのあたりが中医学は「マクロの医学」とか「一人一人に合わせたオーダーメイドの医学」とか言われるところです。
ですから当院では初診の患者さんについては、問診だけで30分以上かかることも珍しくありません。

さて話しをもとに戻しましょう。
患者さんの病態がわかったら次には治療方針を考えます。

《治則と治法》
中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。
治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。
治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。
簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。

《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》
『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。
「理」とは理解と言う意味で、具体的には「四診」や「弁証」により病気を理解することをさします。
「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。
「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。
「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。

つまり、本来の臨床の現場では「四診」により「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。
問診もろくにしないで痛い所やコリが在る所に針をうったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。

さて、それではEDについて中医学の視点から説明をしてゆきましょう。そして、皆さんに中医学の病気の捉え方・診断・治療がイメージしてもらえたら幸いに思います。


▼ 中医学から診たインポテンス(ED)▼      
○ 概要○
中医学ではEDのことを『陽痿』(陽萎){ようい}と言います。陽痿の原因が「腎の陽の気」の不足が多いことから、このように呼ばれているようです。古くは、陰茎が萎えることから『陰萎』と呼ばれたり「陰器不用」とも呼ばれました。
概要は西洋医学と殆んど同じで、男性が性機能が衰退する年齢に達する前に、陰茎の勃起不全や勃起の持続不足によって性交ができないものをいいます。陽痿は治療しにくい病気の一つで、特に器質的な原因によるものは難しいとされています。
陽痿は肝・脾・腎・心が関係し、陰茎は宗筋(筋肉の一種)が関与します。主な病因は過度の性交・ストレス・恐怖・湿などによります。

○ 陽痿のタイプ分け○
さて、中医学では一言に陽痿といっても、病因病機によって下記の1〜4の4つに分類されます。そして病因・病機が違えば当然弁証名や随伴症状が違ってきます。

1.命門火衰による陽痿・・・弁証名は【命火衰微陽痿】
2.心脾労損による陽痿・・・弁証名は【心脾両虚陽痿】
3.湿熱による陽痿・・・・・弁証名は【湿熱下注陽痿】
4.七情内傷による陽痿・・・弁証名は【恐惧傷腎陽痿】叉は【肝気鬱結陽痿】

では、それではそれぞれについての病因病機・症状・治療方針を説明してまいります。

【命火衰微陽痿】
<概要>
「命火衰微陽痿」の「命火」とは『生命の本元の火』の意味があります。また、腎の生理で説明した腎陽と同じです。つまり、生殖や成長の根幹です。「命火衰微陽痿」とは、この「命火(腎陽)」が衰えてしまっておこる陽痿です。

<原因>
1. 過度のマスターベーション 2. 過度の性行為 3. 過度の驚恐 4. 慢性病 5. 加齢
1〜4は腎精を損耗させます。また、加齢については腎精が衰えてくることです。そして、腎陽は腎中の精気から作られており、腎陰により滋養されています。また、腎精は腎陰に属します。ですから、腎精の不足は腎陽の不足をまねきます。

<症状>
□ 主症状

*勃起しないか、
 勃起しても堅くならない‥‥‥
*性交と関係なく精液が漏れる‥
*精液が薄い冷たい‥‥‥‥‥‥
*冷やすと症状が悪化する
 陰部や下腹部の冷え‥‥‥‥‥
*徐々に発病‥‥‥‥‥‥‥‥‥


腎陽の不足により陰茎を支えられない。
腎精の不足により精液の固摂ができない。
腎陽の不足により腎精の減少と冷えが現れた状態 。

腎陽不足による冷えの症状。
虚証の特徴。

□ 随伴症状

*めまい・耳鳴り・健忘‥ 腎精不足により脳が滋養されないため起こる。
*脱毛‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 「腎の華」である髪が腎精不足で滋養できないと起こります。
*歯が弱い‥‥‥‥‥‥‥ 歯は骨の余りと考えます。腎精不足で骨が滋養できないと起こります。
*手足が冷える・寒がり‥ 腎陽不足の冷えの症状。
*精神不振‥‥‥‥‥‥‥ 陽虚の温煦不足が気虚による推動力の低下をさらに悪化させて起こります。
*腰や膝がだるく冷える‥ 腎精不足で腰の滋養が出来ず、更に腎陽不足の冷えによります。
*顔色が白い‥‥‥‥‥‥ 陽虚により気血を顔面 に温運できずに起こります。

舌の色は淡く苔は白い・舌が淡いのは顔色が白いのと同じ理由です。苔が白いのは温煦不足により湿に冷えが入ると現れます。

<誘発素因>
腎精不足の原因がそのまんま誘発素因になります。
1. 過度のマスターベーション 2. 過度の性行為 3. 加齢 4. 慢性病 5. 過度の驚恐

<治療>
腎の温める力が不足しているのですから、「温補腎陽」や「温補元陽」といい腎陽を温補して宗筋の温陽を促します。
ツボ:三陰交・中極・関元・命門・腎兪・太谿・気海
漢方:五子衍宗丸・賛育丹・八味地黄丸・海馬補腎丸


【心脾両虚陽痿】
<概要>
心と脾の損傷により気血が不足するために起こる陽痿です。脾は運化作用といって飲食物を気や血に化成させていますが、脾が損傷を受け運化作用が失調することにより気血不足が起こります。一方、通 常心は脾から送られてきた血を全身に循環させていますが、脾気虚により血の生成の不足がおきているので心へ送られてくる血量 も減ってしまい、心血の不足をきたします。そして心血の不足は全身の血液不足をきたします。
この状態を『心脾両虚証』と言います。又、脾気と心血が不足しているのですから『気血両虚』と同じで、気血が生殖器を栄養できなくて陽痿が起こります。

<原因>
1. 精神消耗 2. 脾胃虚弱 3. 慢性病
「脾は思を主り、心は神明を主る」と言われており、脾や心は精神・意思・思惟と深くつながっていることは先程も説明しました。ですから憂鬱・思い悩みなどの精神的消耗は脾気や心血を損耗させてしまいます。
また、もともと脾胃虚弱な場合は気血の生成が足りずに気血不足がおこります。他には慢性疾患も気血を消耗させます。

<症状>
□ 主症状

*陽痿‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 脾気虚と心血虚のため陰茎を養えずに起こります。
*徐々に発病‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 虚証の特徴です。
*疲労で増悪・精神的にも
 性行為に積極性がない‥‥‥‥

気虚を意味します。

□ 随伴症状

*息切れ‥‥‥‥‥‥‥‥

気虚により「推動作用」が失調して呼吸活動が障害されておこります。

*汗をかきやすい‥‥‥‥ 気虚により「固摂作用」が失調して起こります。
*軟便・むくみ‥‥‥‥‥ 脾気虚により「運化水液作用」の減退により水湿が停留しておこります。
*食欲不振‥‥‥‥‥‥‥ 脾の運化作用の減退により胃の受納に影響をおよぼしておこります。 (胃の受納:胃の働きの一つで飲食物を胃が受け入れることをいいます。)
*めまい‥‥‥‥‥‥‥‥ 血虚により脳髄(脳)が栄養されずにおこります。
*唇や爪の色が淡い‥‥‥ 血虚により栄養されずにおこります。
*動悸・不眠
 夢をよくみる‥‥‥‥‥

血虚により心神を栄養できずにおこります。
*顔色は黄色で艶がない‥ 血不足で顔を栄養できなくて起こります。
*舌の色は淡い‥‥‥‥‥ 気血不足を意味します。
*脈弱く細い‥‥‥‥‥‥ 弱い脈は気虚、細い脈は血虚を意味します。

<誘発素因>
肉体的疲労や精神的疲労

<治療>
心と脾が損傷を受けているのですから「補益心脾」といって心と脾を元気にしてあげます。
ツボ:中極・三陰交・脾兪・太白・足三里・心兪・神門・内関・ダン中
漢方:帰脾湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・五子地黄湯


【湿熱下注陽痿】
<概要>
湿熱による陽痿は『湿熱下注』(しつねつかちゅう)と言います。
津液のところで説明しましたが体内の不要な水液は「湿」を形成し、さらにこの「湿」の停滞が長引くことにより熱化してしまい「湿熱」へと変化します。さらに湿は体の下部を侵す易い性質がありますから、湿熱が体の下部へ侵入して様々な症状をもたらします。これを「湿熱下注」と言います。概要のところで触れましたが、陰茎は宗筋という筋肉が関与しています、下部へ移行してきた湿熱がこの宗筋に浸透すると宗筋は弛緩してしまい勃起不能が引き起こされます。

<原因>
1. 飲食物の不節 2. 痰湿体質 3. ストレス
油っこいもの・甘いもの・味の濃いものを偏食したり、酒を常飲していると「脾」「胃」の機能が低下してしまい「気化作用」が失調を起こし、飲食物の消化吸収能力が低下してしまいます。その結果 、体内に不要な水液が生まれます。また、元々体内に不要な水液が溜まり易い体質も原因になります。
ストレスは「肝」を失調させます。「肝」は「疏泄作用」といって全身の「気」の運行を調節しています。
ストレスによりこの「疏泄作用」が失調をおこすと、全身の気の運行に障害が出て、二次的に「脾の運化作用」の低下を招きます。このことによりストレスが原因で「湿」が生まれるケースもあります。

<症状>
この場合は「湿熱」が原因なので「湿」と「熱」による症状がでてきます。
□ 主症状

*勃起不全‥‥‥‥‥‥‥‥
*陰嚢に灼熱感・湿り気
 腫れ痛み・痒み・臭い‥‥
下注している湿熱により気血の流れが塞がれておこります。

これも湿熱の症状です。

また、急激に発症する特徴もあります。これは、先程説明した「実証」の特徴です。

□ 随伴症状

*むくみやすい‥‥‥‥

脾の運化作用の減退により体内に水湿が停滞している状態です。

*下半身が重だるい‥‥ 湿の重濁の性質で下半身に影響がおよびおこります。
*泥状便‥‥‥‥‥‥‥ 湿が腸内に下注し粘滞の性質が大便に影響を及ぼした状態です。

*黄色の痰がでる
 小便の量は少なく
 黄色 喉の渇き
 顔や頬が赤い‥‥‥‥




熱の症状です。
*舌は赤く
 黄色の苔がある‥‥‥

舌の赤は熱・苔は湿・黄色の苔は湿熱の症状です。
*黄色の痰がでる‥‥‥ 痰は湿で黄色は熱を意味します。つまり湿熱を意味します。
*イライラ、起こり易い 疏泄失調により情志の調節ができない状態です。

<誘発素因>
過度の飲酒・油っこい物、甘い物、味の濃い物の過食・ストレス

<治療>
原因が湿熱ですから、治法は『清熱利湿』といい、熱を下げ湿をとる方針で治療を行います。
ツボ:中極・三陰交・陰稜泉・足三里・豊降などを使用します。
漢方薬:竜胆瀉肝湯・知柏地黄湯


【恐惧傷腎陽痿】【肝気鬱結陽痿】

<概要>
七情内傷による陽痿には「恐惧傷腎陽痿」と「肝気鬱結陽痿」があります。
病因に含まれる「内因」には「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の七情があることは「病因」のところで説明いたしましたが、この七情のなかで過度な怒・驚・恐・憂などにより気血が失調を起こし陰茎を栄養できないタイプの陽痿です。具体的な例としては、精神的刺激により性生活に自信がなくなったり、不安になって起こることが多いようです。


【恐惧傷腎陽痿】
恐怖によって腎が傷つけられ、心神不安を起こすために現れる陽痿です。腎は生殖に深く関与していますので、腎が損傷を受ければ生殖に影響がでるのは容易に想像がつくと思います。

<原因>
1. 驚き 2. 恐怖
古典では「驚けば気乱れ、恐れれば気下がる」と言われ、驚きや恐れは気血の失調をきたし、心や腎にも損傷を与えます。

<症状>
□ 主症状

*勃起不全‥‥‥‥‥

心や腎の損傷に陰茎を栄養出来ずにおこります。

平素は勃起するが性交時には不安や恐怖で勃起しない。
本疾患は虚証でありますが例外的に急激に発症します。

□ 随伴症状

*不眠・動悸‥‥‥‥

血の不足で心血虚となり心神が滋養できないと起こります。

*顔色に艶がない‥‥ 血の不足で顔面 を滋養できないとおこります。
*めまい‥‥‥‥‥‥ 血不足で頭目を滋養できないと起こります。
*耳鳴・難聴‥‥‥‥ 腎は耳と深く関係しているため、腎精不足ために起こります。
*健忘・精神疲労
 めまい‥‥‥‥‥‥

腎精は脳を滋養していますので腎精不足でおこります。
*足腰がだるい‥‥‥ 「腎の府」である腰が腎精不足で滋養できないと起こります。
*脱髪‥‥‥‥‥‥‥ 「腎の華」である髪が腎精不足で滋養できないと起こります。
*歯が抜ける‥‥‥‥ 歯は骨の余りと考えます。腎精不足で骨が滋養できないと起こります。

<誘発素因>
性交時(特に初回)に精神的ショックを受けることで発症しやすい。

<治療>
この場合は驚きや恐怖により腎と心が損傷されているわけですから治法は「補腎養心」とか「補腎安神」といい腎精を補って宗筋を滋養し心を補って精神を安定させます。
ツボ:中極・三陰交・関元・命門・志室・太谿・心兪・神門・内関・ダン中
漢方:大補元煎


【肝気鬱結陽痿】
肝気鬱結とは肝の気が停滞を起こした状態を言います。そしてこの状態は数タイプの陽痿をおこします。
先程も説明しましたが、肝気が鬱結を起こすと「疏泄作用」が失調して湿が生まれてしまい「湿熱下注」の原因になります。
また、「疏泄作用」の失調が「脾」に影響をおよぼせば気血の生化ができなくなり心脾両虚陽痿の原因にもなります。
他には、肝に貯蔵されている肝血は筋肉の働きの維持をしております。そして陰茎は宗筋という筋肉が関与しています。肝気の鬱結が肝血を損耗させてしまえば宗筋を養うことができず陽痿がおこります。

<原因>
1. 怒り 2. 憂鬱
先程も述べましたが肝はノビノビしたりスムースで秩序だった状況を好むといわれています。イライラ・怒り・憂鬱などのストレスは肝の気の停滞をひき起こしてしまいます。

<症状>
□ 主症状

*勃起不全‥‥‥‥‥

肝の気は陰部も流れます。肝気の停滞により肝血の消耗がおこり陰茎を栄養できずにおこります。

□ 随伴症状

*イライラ・怒りっぽい‥‥‥

疏泄失調により情志の調節ができない状態です。

*胸や脇が張った感じがする‥ 肝の気は胸脇部を流れていて、気が停滞すると張ったような痛みが気の流れるルート上に現れるので、胸や脇が張った感じがします。
*よくため息をつく‥‥‥‥‥ 疏泄作用の失調により胸中の気がスムースに流れない。
*舌の色が紅色‥‥‥‥‥‥‥ 気の停滞が熱化した状態。
*脈は細く弦をはじく様で
 速い‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

細い脈―肝血不足・弦をはじく脈―肝鬱・速い脈―熱

<治療>
この場合は肝の気が停滞をしているわけですから、「疏肝解鬱」と言って肝の気を流してあげます。
ツボ:中極・三陰交・太衝・期門・陽陵泉
漢方:加味逍遙散・達鬱湯


以上がEDの弁証論治です。一言に『インポテンス』といっても、原因の違いによって随伴症状が様々であることがわかっていただけたと思います。我々はこの様に多くの随伴症状を参考にして、患者さんの体の中でおきているバランスの崩れを見つけてゆきます。そしてもう一つ皆さんにわかっていただきたいことは、同じEDでも原因や随伴症状が違えば漢方薬や使用するツボが違うということです。これは、先程も述べましたが中医学の治療は身体全体のバランスの崩れを改善してゆくものです。ですからEDという主症状が同じでも、「気・血・水」のバランスの崩れ方が違えばおのずと治療の方針も違ってくるのは当たり前のことです。
いかがですか、中医学の治療の考え方が少しは理解していただけましたでしょうか。


次に養生法を少し紹介しますが、EDで一番大切なことは原因の改善や危険因子の排除になります。現代医学でも中医学でもEDの原因で一番多いのは精神的影響と言われております。精神的影響には何らかの原因がありますので、その原因の改善が完治の近道です。逆を言えば、いくら治療をしても原因や危険因子の改善又は排除が出来なければ、治療が長引いてしまったり、再発の可能性も高くなってしまいます。
EDは恥ずかしい病気ではありませんので、けして一人で悩まずに専門家に相談してください。

最後EDによいと言われる食物と薬膳を紹介します。
<EDに適する食物>
羊肉・牛腎・豚腎・鰻・鰕・穴子・栗・蓮子・胡桃・胡麻
<EDに適する薬膳>
1.すっぽんスープ 2. 韮餃子 3. 山薬団子などがあります。

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 


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