発疹とは

皮膚に見られる肉眼的な変化を言います。発疹とは、局所の刺激によって生じるだけでなく、全身性疾患の一部分症として現れることがあります。
また、健康な皮膚に最初に出現する現発疹と、それに続く続発疹があります。
よくみられる発疹には次のようなものがあります。

・紅斑− 皮膚が限局性に発赤したもので、ガラス定規で圧迫すると容易に退色します。皮膚は隆起していません。

・紫斑− 皮膚組織内の出血によるもので、大きさにより点状出血、斑状出血に分けられます。はじめは赤色ですが、やがて紫色→青色→黄色と変化して消失します。

・丘疹− 皮膚から半球状、扁平に隆起した病変で、通常直径5mm以下のものを言います。

・結節− えんどう豆以上の皮膚の隆起を言います。

・水ほう− 表皮内に空洞を生じ、その中にしょう液の溜まった状態です。

・膿ほう− 膿液が溜まり、水ほうが混濁したり黄色に見えます。

・蕁麻疹− 真皮上層の浮腫により、限局性にかつ境界鮮明に皮膚の隆起した状態です。


上記したものが先に述べた原発疹です。
原発疹が変化し、ひっかいたり、感染が加わるなどして続発する続発疹は下記のようなものがあります。

・びらん−皮膚の欠損のうち浅いものをいいます。

・潰瘍−深くて治癒した後に瘢痕を残すものを言います。

・か皮−いわゆるかさぶたの状態です。

・瘢痕−創傷が結合組織によって修復された状態です。

・鱗そう−表皮角層上層が角質片となって剥脱したものです。

また、発疹には感染によるものとアレルギーが関係しているものがあります。


感染症による発疹
代表的なものをいくつかあげていきます。

麻疹(はしか)

・症状と診断
はしかの始まりはカゼ症状です。すなわち、咳、鼻水、目やになどの症状とともに38℃ぐらいの熱が出ます。
このカゼ症状が3〜4日続いた後一旦37℃台に熱が下がり、一日くらいたって再び熱が上がり、それと同時に発疹が顔あたりから出始めて全身に広がります。発疹は特徴的に毒々しい色になります。
最初のカゼ症状が出て、2〜3日経過したころより口の中を注意深く見ますと頬の内側の粘膜にコプリック斑と呼ばれる白い斑点が見えます。
はしかを最初から疑って注意してみると、このコプリック斑は特徴的なのですが、普通 はなかなか頬の内側まで注意してみないため、小児科医でもこのコプリック斑はしばしば見落とします。
2回目の熱はさらに高く、40℃くらいまでに達し4〜5日続きます。咳、鼻水、目やに(結膜炎)もさらに激しくなってきます。
この期間を乗り切ると熱が下がり、発疹の後は茶色い色がついて残ります。

・治療および注意点
はしかは病気の力も強いのですが、その伝染力にかけて右に出るものはありません。予防接種を受けないときに、はしかの患者に接触するとまず発病すると考えたほうがよいでしょう。
患者に接触して2日以内であれば予防接種で、4日以内であればガンマグロブリン(ヒト免疫グロブリン)を筋肉注射することによって発症を予防できる可能性があります。もちろん早ければ早いに越したことはありません。
しかし、一旦発症してしまうと直接の治療法は残念ながらありません。重症になり、入院が必要となることも少なからずあります。
はしかは他のウイルス感染症に比べ、圧倒的に細菌感染を併発することが多いため、通 常これを予防するために抗生剤を内服します。高熱と強い咳などで体力を消耗して食事がとりづらいために、脱水症状にならないためにこまめに水分補給をすることが大切です。
高熱で食事や睡眠が妨げられる場合は、熱さましを使ってもかまいません。
ひどい咳や鼻水に対しては、咳止め、鼻水止めを使います。脱水症状になれば点滴で水分補給を行います。
2回目の発熱が5日以上続く、咳がひどく呼吸困難になる、耳を痛がる、けいれんを起こしたり意識状態がおかしくなるなどの症状が出てくれば、合併症(肺炎、中耳炎、脳炎など)の可能性があるので病院を受診しましょう。


風疹

・症状と診断
典型的な経過は、耳の後ろや首のリンパ節が腫れ、その数日後に38℃ぐらいの熱が出、同時に発疹が出ます。鼻水や目やにを伴うことがあります。
発疹はぶつぶつと出色が薄く、顔から出始め全身に広がります。身体にまんべんなく分布しており、あとで皮がむけることはありません。
3日はしかといわれているように、発熱と発疹は約3日でなくなりますが、リンパ節の腫れは1ヵ月以上続くこともあります。
流行していると、発疹を見ただけで診断をつけやすいですが、ぽっと現れたものは断定するのが難しく、血液の抗体検査が必要なこともあります。

・合併症と注意点
風疹自体は自然に治り、合併症を起こさない限りは特に治療も必要ありません。知られている合併症は髄膜炎、脳炎、血小板減少性紫斑病(出血を止めるのに必要な血小板がどんどん壊れて少なくなる病気)、溶血性貧血( 赤血球がどんどん壊れて貧血になる病気)などです。
風疹の経過中に頭痛、けいれん、意識障害、出血点、強い疲労感などが出たら病院を受診してください。
妊娠初期の妊婦が感染すると流産の可能性があり、流産しなくても先天性風疹症候群と呼ばれる難聴や目の障害、心臓や脳の障害をもつ子供を生む確率が高くなります。


突発性発疹症

・症状
熱以外にこれといった症状がないのが特徴ですが、下痢をしていることもあります。
診察してもまたこれといって悪いところがなく、口の中に永山斑と呼ばれる小さな斑点を認められることがあるくらいです。
熱は、典型的なものは39℃以上の高熱ですが、38℃前後のこともあります。熱の続く長さも人によってまちまちで、一日で下がってしまうケースもあれば、5日ほど続くケースもあります。平均的には3〜4日間です。
体の状態にも個人差があり、熱の割りにけろっとして普通に過ごしている場合もあれば、機嫌が悪くぐったりして食事や睡眠が妨げられるケースがあります。また、急に高熱が出るために、熱性けいれんを起こすことがまれではありません。その一部は単なる熱性けいれんではなく、髄膜炎を起こしていることもあるため注意が必要です。
発疹は、熱が下がると同じくらいに身体から出始め、全身に広がります。発疹は、一見してわかる場合がほとんどですが、中にはよく注意して見ないとわからない場合があります。

・治療法
ウイルスそのものに効く薬は残念ながらありません。
高熱で身体がぐったりしたり、吐いて水分がとれず脱水症状になっていることがありますので、点滴による脱水症状の改善が必要となります。熱の原因がはっきりしない場合、抗生剤を飲んでもらうこともあります。


アレルギーによる発疹
代表的なものをあげていきましょう。

じんましん

じんましんとは、突然皮膚に出来る痒みを伴う赤い(時には白い)蚊にかまれたようなふくらみのことです。大きさは様々ですが、掻くとどんどん広がります。
普通数時間で消えていきますが、違う部分からまた新たなものが出てきたりします。目の中や唇に出来ることもあり、夏に発症することが多い傾向にあります。


アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は乳幼児期に始まることが多く、よくなったり、悪くなったりを繰り返しながら長期間続く皮膚炎で、症状は痒みのある湿疹が中心です。
原因には、体質的なものと環境的なものが絡んでいると考えられていますが、まだ詳細はわかっていません。乳幼児期に始まったアトピー性皮膚炎が成人期まで続くこともあり、中には成人になってから始まる人もいます。
喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など他のアレルギー疾患が同時に見られることが多く、伝染性膿か疹(とびひ)などの感染症、白内障、網膜剥離なども見られます。
アトピー性皮膚炎は、近年世界的にも日本国内でも増加傾向にあります。症状や経過は個人差が大きいので、治療効果 を見ながら注意深く根気強く治療する必要があります。


ここにあげたのは代表的な例です。
これ以外にもたくさんの病気の一症状として出てきます。特に、頭痛や吐き気など発疹以外の症状がでているようならば専門医に見てもらい適切な処置をあおいでください。


中医学的観点からの発疹

中医学による生体観をまずみていき、そこから発疹がどのようにおこるかみていきます。

 〜気・血・水〜

気− 気とは物質であり、人が生理活動をする上での重要なエネルギー源です。物質ゆえに消耗したり補充したりすることが出来ます。
また運動性も持ち合わせており、「昇降出入」という働きがあります。
「昇降出入」とは気の運動形式のことで、昇ったり降りたりする上下方向の運動と、発散したり収納したりする出入方向の運動が基本になっているということです。よって、気は物質でありながら運動性を持っているのです。
また、気が不足して病気になってしまうことを気虚と呼び、気が1ヵ所に滞って流れが悪くなって病気になってしまうことを気滞と呼びます。
気の具体的な生理作用には、人体各部を栄養する栄養作用、内蔵の活動を促進したり、体内の流れを推進したりする推動作用、内臓を温め活動を促進したり体温を維持する温く作用、体表を保護し外から侵入してくるものを防いだり侵入してきたものと闘ったりする防御作用、人体を構成している水分や血液が外に漏れ出ないようにする固摂作用、体内の物質を変化させたり代謝を行う気化作用などがあります。

血− 血とは、体内を流れる赤色の液体で、人体を構成し生命活動を維持する基本的物質です。現代医学でいう血液とは似ていますがイコールではありません。
中医学で血の作用は、全身を栄養し潤すことです。
例えば、顔が赤くつややかだったり、肌がふくよかで皮膚や髪の毛が潤って光沢があるのも、あるいは目などの感覚器や筋肉などの運動器が円滑に働くのも血の充足のおかげなのです。
他にも、血は精神活動を支える栄養源になっており、血が足りなくなると精神的な症状(失眠、健忘、昏迷、不安など)が現れます。

水− 水とは、人体中の正常な水分の総称です。
その中には唾液や涙、汗といったものも含まれます。
水の作用は体表部(皮膚や汗腺など)から体内深部(脳や骨、関節や内臓など)を潤します。また水は、血を作るうえでも重要な成分になっています。


〜臓・腑〜

臓− 臓とは五臓とも呼ばれ、肝、心、脾、肺、腎という実質性臓器のことを指し、主な働きは気、血、水の生成と貯蔵を担います。

腑− 腑とは六腑とも呼ばれ、胃、大腸、小腸、膀胱、胆、三焦という中空性臓器のことを指します。
主な働きは、飲食物の消化をし身体に必要なものは五臓に渡し、不必要なものは排泄します。


〜外邪〜

外から体内に入ってきて病気のもととなるものです。
風、暑、湿、燥、寒、火(熱)と六つあるので六淫とも呼ばれています。
その中でも発疹と関わりのあるものには風、火(熱)、寒があります。

風− 他の外邪と結びつきやすく、体内に入ってくるとあちこちと飛び回り、症状が色々と変化していき、一ヶ所にとどまることがないです。

火(熱)−体内に入ってくると上のほうに症状が出やすく熱症状を伴います。

寒− 体内に入ってくると気や血の流れを止めてしまい、痛みを引き起こすような症状を伴います。


・気の種類

・営気− 気の作用のうち特に栄養作用が強く、経脈を通して全身に運ばれ栄養し潤します。血のもとにもなります。

・衛気− 気の作用のうち、防御作用と温く作用のはたらきが強く、肌表を保護して外邪の侵入を防ぎ、汗孔の開閉に関与して発散や体温調節をつかさどるほか皮膚を潤します。
また臓器を温め働きをよくします。


気の種類の中でも特にこの2つが発疹と関わりがあります。

〜発疹と関わりが強い臓腑〜

脾− 食物を水穀の精微(栄養素)にかえ、全身に送り水穀の精微を気、血に変化させます。簡単に言うと食物をエネルギーに変える働きをしてくれます。

胃−食物を消化・吸収し小腸に送る働きをします。

これらが失調することで発疹が出やすい体内環境になってしまいます。


・風熱による発疹

そう理の状態が悪い人が風熱の邪の侵襲を受け、それが皮毛に停滞すると営衛不和(営気と衛気の働きが悪くなる)になると発疹が起こります。

特徴− 発疹が赤くて痒みが激しく、口渇を伴い、舌には薄く黄色い苔がついています。

治療−去風清熱(風と熱を体内から外に追い出します)


・風寒による発疹

営衛失調のために衛気が体表にうまく作用しないと、そう理の状態は悪くなります。そこに、風寒の邪が皮毛に侵襲して毛孔が閉塞して、発疹が起こります。
特徴− 悪寒や発熱、無汗といった症状を伴い、軽く触れると脈が緊張したり遅くなったりします。

治療−去風散寒(風と寒を体内から外に追い出します)


・胃の湿熱による発疹

体質や飲食不節により胃に湿熱が生じ、その湿熱がうまく発散しないで皮毛で
停滞すると発疹が起こります。

特徴− 急に発疹が起こり、色は赤です。舌の色は赤く、舌につく苔は黄色くべったりしています。
脈は速くなり、その他に胃痛や悪心・嘔吐、下痢、小便は黄色く少量 などの症状を呈します。

治療−胃の働きをスムーズにし、余分な湿熱を取り除きます。


・気血両虚による発疹

虚弱体質、気血の生成不足、または出血などにより気血が不足し、そのために皮毛がうまく栄養されず、体表の防御機能が低下し、そう理もうまく開閉できずに発疹が起こります。

特徴− 発疹は反復して起こり、なかなか治りません。色は淡紅色で、舌は大きく色は淡いです。脈は力なく弱いです。
他に、顔の血色が悪い、精神疲労、無力感、食欲減退、不眠、心悸、息切れが見られます。

治療−気血の生成を脾を丈夫にし、衛気の機能回復をはかります。

中医学で発疹を捉えるときは、その人がどんな状態にあるかをまず判断していきます。その上で、発疹を治療するには体内環境を正常化するということをしていきます。
中医学では、幅広く病気に対応していけるだけの確かな論理と実践がありますので、発疹をお持ちの方は当院にお気軽にご相談ください。

 


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