メタボリックシンドロームという言葉は、最近では様々なメディアで取り上げられ、何度も耳にし、とても身近な言葉になっていると思います。しかし、この現象は、現代社会において普通 に生活をしていても陥りやすい病態であるからこその警鐘であると言えます。
今回は、メタボリックシンドロームについて、中医学的な予防方法を紹介します。健康のための参考になさってくださいませ。

メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームは、別名、代謝性(metabolic)症候群(syndrome)と呼ばれ、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)を主体として、高血糖、高血圧、高脂血症のうち2つ以上を合併した病態と定義されています。以前より、シンドロームX、死の四重奏、インスリン抵抗性症候群、マルチプルリスクファクター症候群、などとも呼ばれていますが、簡単に言ってしまえば、「肥満が災いして病気になりやすい体質」と言えます。
これらの病態は、重積すると相乗的に、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、注意すべき病態として扱われています。

以下は、上記の病態の基準値(2005年)です。
必須項目
・内臓脂肪
 男性:85?以上
 女性:90?以上
選択項目(2つ以上)
・血圧
 収縮期血圧:130mmHg以上 or 拡張期血圧:85mmHg以上
・空腹時血糖値
 110mg/dL以上
・血中脂質
 中性脂肪150mg/dL以上 or HDLコレステロール40未満

内蔵脂肪を落とせば健康になれるの?
最近では、内臓脂肪の蓄積による肥満が、メタボリックシンドロームを引き起こす共通 の基盤として着目されています。内蔵脂肪の燃焼を手助けする特定保険用食品が、最近増えているのもこのためかもしれません。
では、本当に内臓脂肪を落とせば健康になれるのでしょうか?内臓脂肪の蓄積による肥満は、確かに体にとっては正常な状態ではなく、様々な病気のきっかけになっているかと思います。しかし、ここで間違ってはならないのは、内臓脂肪の蓄積というのは、あくまで体の中で起きている代謝の産物であるという点です。つまり、代謝しきれない要因があるからこその脂肪の蓄積なのです。そういった意味では、内臓脂肪の蓄積というのは、体の警告信号として捉えるのが良いと思われます。そして、この警告信号をきっかけとして、代謝異常を起こす要因をしっかりと探り、改善していくことが健康につながるのだと考えます。

体質も要因の一つ
現代社会においては、多くの場合は、運動不足や過食がメタボリックシンドロームの要因の一つとなっていることは否めません。しかし、忘れてはならないのは体質という基盤の上に、生活習慣、生活環境が反映されているということです。「最近、運動不足だから運動をしてみよう」これは、良いことだとは思います。原因が本当に運動不足だけであれば、良い効果 は出るでしょう。しかし、例えば、代謝そのものが落ち始めている体質的変化の上に、運動不足が重なっていた場合はどうでしょう?この場合はやはり体質の改善もしなければ、効果 が出づらいと言えます。
つまり、要因を探る上で重要なのは、体質(内的要因)と生活習慣や環境(外的要因)の両面 をしっかり探らなければならないということなのです。


中医学的な体質の捉え方
では次に、中医学では、どのように体質を捉えるのかを紹介いたします。

中医学では、人の身体は「気」「血」「水」の三つの物質により構成されていると考えられています。そして、これら三つが、ちょうど良いバランスで体内をめぐることにより、人は正常に活動することができると考えられています。言い換えれば、「気」「血」「水」は健康の原点とも言える物質なのです。


いわゆる生体エネルギーであり、生命力そのものです。これが正常でなくなることで体内における様々な活動が衰えます。代謝が悪くなるということもこれに当てはまります。


いわゆる血液であり、体の隅々に栄養を運ぶものです。これが正常でなくなると、体内の臓腑の機能が正常に働かなくなります。


いわゆる体液であり、体を潤す作用があります。これが正常でなくなることで、水分代謝が悪くなり、他の物質の運行を妨げてしまいます。特に体にとって不必要な「水」は「痰湿」と呼ばれ、脂肪はこの「痰湿」から成っていると言われています。

これらの「気」「血」「水」のバランス調節には、体内の臓器が関係しています。
特にメタボリックシンドロームでは、「脾」「腎」「肝」の臓器が大きく関係しています。


飲食物を消化吸収して「気」や「血」を作りだし、他の臓腑に送り出す作用を持った臓器です。この作用は「運化作用」と言いますが、この「運化作用」が失調することで、体内の様々な活動が衰えてしまい、代謝も悪くなります。


元気の源と言われる臓器です。作用には様々なものがありますが、メタボリックシンドロームでは主に、水分代謝や排尿に関する機能が重要と言えます。「腎」の機能が失調することで、水分代謝が悪くなり、痰湿を生じることで、肥満の原因となります。


「気」をスムーズに体内をめぐらせる役割を担っている臓器です。「肝」はストレスに非常に弱い臓器で、現代社会においては、生活環境に非常に左右されやすい臓器と言えるでしょう。この「肝」の機能が衰えることで、「気」は体内をスムーズに流れずに停滞し、イライラ感を覚え、血圧も高くなりがちになります。

中医学的な体質とはつまり、「気」「血」「水」のバランス、そして臓腑の状態、ここでは「脾」「腎」「肝」の状態により成り立っています。そして、これらの要素を把握した上で、より正常な状態に近づけることが、効果 的なメタボリックシンドロームの改善につながると考えます。

体質タイプ別の中医学的予防
それでは、体質タイプ別に中医学なメタボリックシンドロームの体質改善方法を紹介いたします。体質改善の方法としては、ツボ押しによる体質改善と、食材による体質改善を挙げています。ほんの一例ですが、参考になさってください。

ただし、どの体質タイプにも共通して言えることですが、適度な運動・食事・睡眠といった外的要因に対する改善は必須であるということは忘れないでください。

 脾虚湿盛タイプ
脾の臓が正常に働かなくなることで、食物を効率的にエネルギーに変えることができず、代謝が悪くなっているタイプです。倦怠感、食欲不振を感じる方が当てはまります。
代謝が悪くなっているタイプのため、肥満になりやすいタイプと言えます。
随伴症状としては、顔色が青白い、お腹が張る、浮腫みやすい、軟便といった症状もみられることがあります。

 ツボ押し体質改善
足三里(あしさんり)、合谷(ごうこく)
 食材による体質改善
豆腐、ヨーグルト、しょうが、フグ


 腎陽不足タイプ
腎の臓が正常に働かなくなっているタイプです。何をするにも元気が出ない方が当てはまります。「脾虚湿性タイプ」とは異なり、食欲はあります。体全体のエネルギーが不足し、水分代謝異常のために痰湿も停滞しやすいため、肥満になりやすいタイプと言えます。
随伴症状としては、寒がり、尿が少ない、殿部と大腿部が肥満といった症状もみられることがあります。

 ツボ押し体質改善
関元(かんげん)、太谿(たいけい)
 食材による体質改善
くり、小麦、丁子

 


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