尋常性(じんじょうせい)白斑(はくはん)病について

白斑病とは突然皮膚の色が抜け、白い斑点ができるものです。
白ナマズなどとも呼ばれたりします。
白斑病は後天的なもの(遺伝的ではない)で、発症は子供から高齢者までの幅広い年齢層に発症します。
美容的な皮膚の問題以外身体への影響はない病気ですが、三大難治皮膚病とも言われなかなか治りにくい皮膚病です。

皮膚疾患は症状としては表面に出ていますが、西洋医学的にみても、中医学的にみても免疫や臓腑との関係が深いものがたくさんあります。
中国では西洋学的な治療だけでなく、中薬(漢方薬)と針を中心として治療する病院もあり、皮膚疾患でも身体全体を治療して病気を治療しています。


<西洋医学的な白斑病の考え方>

白斑病は始めのうちは、親指の先ほどの小さな白い斑点(白斑)が2〜3個できます。
そして次第に数が増え、範囲が広がっていきます。
白斑病はA型(汎発型または進行性)白斑とB型(神経分節型)白斑の2つに分類します。
それぞれ経過と予後が異なりますので分けてお話していきます。

○A型(汎発型)白斑病

白斑病は、まず2〜3個の指先ほどの小さな白斑から始まります。
徐々に数が増え、放っておくと全身に広がっていきます。
顔面、体幹部、手足などどこにでもできますが、特にシャツの襟で擦れる首やベルトや下着で擦れる場所に左右対称に発症します。
身体の両側、全身にでる。
発症する年齢は、子供から老人までの全ての年齢層にでます。

原因――汎発型の場合、自己免疫現象であると考えられています。
本来は免疫機能とは外部から身体に不利益な異物が入ってきたときに、攻撃して異物の力を弱めて排除することですが、このA型白斑の場合は、その免疫機能が自分自身の色素細胞(メラノサイト)を異物と誤って認識して攻撃し、色素細胞が破壊されてしまうために色が抜けてしまったということです。
この自己免疫現象がおこる理由はまだハッキリとはしていませんが、ウィルスによるものや、ストレス、環境の変化などが原因であると推測されます。
白斑が進行して広がる原因としては、お風呂で身体を過度に洗いすぎたり、また石鹸が残っていたり、お茶やコーヒー、お酒などを飲みすぎたり、衣服のすすぎ残しの洗剤や化学物質などが悪い影響を与えると考えられています。
また、中には甲状腺の機能亢進によるものやリウマチなどの膠原病などが原因になっているものもありますので、皮膚以外に症状がある時は検査が必要です。

治療――自己免疫現象の原因がはっきりとしないため、治療法も原因に対する治療ではなく、抜けてしまった皮膚の色素を復活させる対症療法になります。
進行性白斑は初期、早期での治療が重要です。
何年もたった白斑病でメラノサイトが完全に壊れてしまってからは、治療効果 は期待できません。

@ステロイド療法…初期にはステロイド外用薬に反応して色素再生がおこります。
また、白斑が増加拡大する時にステロイド薬を服用すると進行を停止、色素再生させる効果 があります。

A紫外線照射:PUVA(プーバ)療法…PUVAとは光感作物質であるソラレン(P:psoralen)を外用または内服して、その後で長波長紫外線(UVA:ultraviolet A)を照射する治療法です。
毛嚢(もうのう)に残っているメラノサイトを刺激して色素産生を促す方法なので、毛嚢のない部分での治療効果 は低い。
過剰照射による副作用の注意や、適切な目の保護などが必要なため専門医での治療が必要です。

これらの治療法は併用しても行われます。
それぞれ3〜4ヶ月で効果がなければ中止します。

Bレーザー療法…レーザーにはエネルギーの種類や密度によって、特定の細胞を狙って細胞を破壊したり、逆に活性化したりする作用があります。
やはりメラノサイトに働きかけ細胞を活性化させます。
ステロイドやPUVAよりも身体にかかる負担は少なくなりますが、レーザーの種類によっては保険適応外になるため、専門医との相談、治療が必要となります。

いずれの治療にしても、白斑の場所を目立たないようにする対症療法ですが、根気よく治療する必要があります。


○B型(神経分節型)白斑病

片側の神経の走行に沿って白斑が現れます。
若年に発症しやすい特徴があります。
数ヶ月から数年で神経の分節いっぱいに広がって、その後は同じ状態が続きます。
この神経分節型の白斑の発症の発症はとても少ないです。

原因――詳しいことはまだ不明ですが、末梢の神経とメラノサイトがつながっているので、神経からの伝達物質の低下や異常が考えられています。

治療――神経分節型白斑は、ステロイド療法や紫外線照射療法の効果 があまりなく、治りにくいのが特徴です。
しかし、発症後数年で進行が止まるのと、神経の支配している範囲に限局されているために皮膚移植が行えます。

@表皮移植手術…白斑の進行が止まった後、メラノサイトがある正常な皮膚を白斑の皮膚に移植します。
数週間から数ヶ月で正常な皮膚の色に戻っていきます。

西洋医学ではこのような分類、治療になります。
治りにくい皮膚病ではありますが、美容的、心理的な問題がある以外は身体の方には実害はありません。
これらの治療で残ってしまったものや、治療の時期を逃してしまったものなどは化粧品で色をつけることになります。


<中医学的な白斑病の考え方>

白斑病は中医の中では「白癜(しろなまず)」「白癜風(はくでんぷう)」「白駁(はくばく)」などと呼ばれています。

※中医学のお話しをする前に、ホームページのトップページのやや下にある「わかりやすい東洋医学理論」の中の中医学の陰陽、生理観、気血水(津液)、内臓(五臓六腑)、経絡を読んでいただきたいとおもいます。
西洋医学では自己免疫が原因と考えられていますが、中医学でも外的な影響もありますが、身体全体の病的状態が皮膚にも影響して皮膚病が起こると考えます。
身体が疲れたり、夜更かししたりすると肌が荒れたり、身体にあわない物を食べると湿疹が出たりするのは誰でも一度は経験があるとおもいます。
中医学の皮膚病に対する考え方は一見難しそうにも見えますが、実はとても自然で一般 的な理論です。
中医学での治療方法としては、針治療と生活での注意点を紹介します。


○皮膚病を起こす原因(白斑と関係の深いもの)

皮膚は身体の中で最も大きく、また複雑な器官であります。
身体を外界の風、寒、湿、熱等の外邪から防御したり、汗を排泄して体温調節をしたりします。
中医学では皮膚も臓腑と経絡によりつながっていると考えていますので、病気になる原因として、外界の邪気の影響と身体の臓腑の気血のバランスがくずれてしまっても皮膚病の原因になると考えます。

「わかりやすい東洋医学理論」の中にも説明がありましたが、病気を起こす原因として外因(六淫)、内因(七情)、それ以外の不内外因があります。

外因とは 体外より人体を襲う病邪(邪気)のことで、六淫(ろくいん)といって、風、寒、暑、湿、燥、火(熱)があります。
季節、気候が正常な状態であれば身体に悪い影響はないのですが、急や異常な気候の変化があったり、季節外れの気候だったりすると身体に悪い影響があり病気になりやすくなります。

内因とは 情志(感情)のことで、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種類の感情が、臓器の働きを悪くして気血水が正常に働けなくなり、病気になると考えます。
中医学では自然界の中で起こることは体内でも起こると考えます。
臓腑の働きが悪くなると身体の中でも六淫のような邪気が発生します(身体の中でも熱くなったり、寒くなったり、風が吹いたりするということです)。

不内外因としては過度の労働による疲れや、過度な不労や安静、飲食の不摂生、過度の性行為、寄生虫、毒などがあります。

これらが原因となり、そして体質(遺伝的要素)や気候、食事等々のバランスが取れなくなってしまったりすると臓腑のバランスをくずし病気になります。

皮膚病が起きる原因になる病因には、内因や外因による風邪、湿邪、熱邪、毒、虫などが主要な病因になり、そして血オ(血の流れが悪くなり滞った状態)、血虚風燥(血が足りなくなって風邪や燥邪に犯された状態)、肝腎不足(肝と腎の臓腑の気が不足している状態)、脾胃虚弱が病理の基礎になると考えられています。


○白斑に関係の深い邪気、臓腑の説明

風(ふう)について
@ 風は陽邪で、その性質は開泄で、陽位 (上方)を侵し易い;開泄とは汗腺を開いて汗をかくこと。
A 風は行き先が定まらず、よく変化をする。
B 風は全ての病気の長:他の邪気と結合し易い、他の邪気の先導者である。
風邪は外邪で皮膚の隙間から入り込み皮膚病をおこす。

火(か)熱(ねつ)について
火熱は陽邪で、その性質は炎上する…上方に燃え上がるイメージです。
@ 高熱、悪熱(熱がる)、煩渇(とてものどが渇く)、汗をかく、脈が力強く振れるなどの症状がでます。
A 火は気を消耗しやすく、津液を傷付けます。
B 火は風を生み、血を動かします。
C 火は腫瘍をつくる。

湿について
@ 湿は重く、汚くにごる性質をもつ。
A 湿は粘滞の性質をもつ。
B 湿は下降して陰位を侵しやすい。
C 湿は陰邪で、気の流れを阻滞し、陽気を損傷する。

肝の機能は
@ 蔵血作用…血液の貯蔵。血液量の調節。出血予防。などの作用。
A 疏泄作用…気の流れをスムーズにする。脾胃(消化吸収、栄養運搬など)の働きを促進。情志のコントロール。胆汁の分泌、排泄。女性の排卵や月経、男性の射精をスムーズにする。
血は皮膚を栄養する時にとても重要です。

腎の機能
@ 蔵精作用…精を蔵す。成長、発育、生殖を主る。腎精は血に化生することもできる。
A 水を主る…水液代謝を主る。
B 納気作用…呼吸を調整する。吸気を主る。

では、これからどのような病因と病機(メカニズム)と治則を考えていきます。


<弁証論治(中医学診断と治療)>

白斑病は中医学では内因と外因が相互に作用した結果発病すると考えます。
気血の不足や調和が取れなくなり、皮膚の栄養ができない状態の時に風邪に侵されてしまうことが主な原因です。

○血熱風熱(ケツネツフウネツ)

原因と病機――風邪が皮膚の間に挟まり込み経絡を侵す。また、長期にわたると風邪が熱化して血に入り血熱になる。風熱、血熱の邪気により経絡の流れが滞り、また熱により血を煮つめてオ血状態になり、皮膚を栄養できなくなり白斑が発症する。

症状――白斑病の急性期に相当する。発病は急で、皮膚過敏があったりする。白斑は少し赤みを帯び、徐々に増えていく。正常な皮膚との色の境界が不明瞭で、顔面 部など身体の上方から起こる。皮膚に軽い痒みが出ることがある。
その他に口渇、舌が赤くなる、舌苔が黄色くなる等々。

針治療――涼血活血、精熱袪風
     (血の熱を冷まし、血を経絡に正常に巡らせて風邪を取り去る)


○風湿(フウシツ)

原因と病機――風邪と湿邪が合わさって皮膚の間に挟まり込み経絡を侵す。または内湿が風邪を感受して起こる。風湿が皮膚の気血の流れを阻んでしまい、気血が皮膚を栄養できなくなり白斑を発病する。

症状――白斑病の急性期に相当する。正常な皮膚との色の境界が不明瞭で、顔面 部或いは全身に起こる。
その他に頭痛、悪風、身体が重く感じる等々。

針治療――袪風除湿、和血通絡
     (風邪を取り去り、湿邪を除き経絡を通し血の流れを正常にする)


○気滞オ血(キタイオケツ)

原因と病機――風邪が皮膚の間に挟まり込み経絡を侵すとそこの気血の流れは悪くなる、長期になると気滞(気の流れが滞る)になり、オ血(血の流れが悪くなる)になる。
または精神刺激があったり、イライラしたりして肝気の流れが悪くなり、気の流れが滞るとオ血になり、結果 皮膚で気血不和や血が皮膚を養えなくなり、悪くなったところに風邪が侵入して白斑になる。

症状――大小不規則な白い斑点ができる。情緒の変化によって白斑が広がる。白斑は白色か乳白色。皮膚の色の境が不明瞭。わき腹が張る。怒りやすい。舌の色が暗くなる。等々。

針治療――行気活血、袪風
     (気血に流れをつけ滞りを解消し、風邪を消滅させる治療)


A肝腎陰虚(カンジンインキョ)

原因と病機――七情による内傷や過労、長期の病期などにより精血を損なった結果 、肝陰や腎陰不足をおこす。
肝は血を蔵し、腎は精を蔵す。
精血は互いに転化するため、また源は同じであるため“肝腎同源(カンジンドウゲン)”と呼ばれる。
このことから、肝陰が不足すると腎陰不足を引き起こし、逆に腎陰が不足しても肝陰不足を起こす。
肝腎陰虚により気血不和が起こり、皮膚が栄養できなくなる。そこに風邪が侵入してきて白斑になる。

症状――固定期に相当する(長期)。白斑が固定してくる。正常な皮膚との色の境界がはっきりしている。白斑の中の毛も白色になる。
その他に顔色が悪い、めまい、耳鳴り、腰や膝がだるく力がない、寝汗等々。

針治療――滋養肝腎、調和気血、袪風(ジヨウカンジン、チョウワキケツ、キョフウ)
(肝腎の陰液を養い、気血を調和させ、風邪を取り去る治療)

 これらの証は いろいろな証が同時に発症することがあります。

○生活上の注意点
@ 日光に当たり過ぎないように注意する――白斑の皮膚は紫外線により容易に皮膚炎を起こしやすくなるので過度の日焼けに気をつける。
A ストレスに気をつける――過度のストレスは白斑の進行を早めてしまいます。ストレスを避けるのは難しいこともありますが、ストレスを感じる時は休息をしっかりとるようにする。
B 疲れすぎないように気をつける。
C 刺激物との接触を避ける――石鹸、洗剤、シャンプーなどは刺激の強い化学物質を避ける。
D 刺激のある嗜好品を控える――タバコ、お酒、辛いものなどは控える。


<まとめ>
白斑病は色素脱落以外の症状がない皮膚病です。
しかし、難治性で美容的な問題からのストレスは大きいと思われます。
早期の治療が肝心ですので、白斑が発症してしまった場合はほったらかしにせず、速やかな治療と生活の改善必要です。
針治療は皮膚を直接治療するというよりも、白斑を起こす身体の問題を診断し治療します。


=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。
例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。
急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。
ゆえに、慢性の症状を1〜2回の治療で治すというのは難しいのです。
西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。
ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。
例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。
大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。
又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。
当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。
それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。
この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。
特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。
顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)
急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子
その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳
アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など
これらの疾患はほんの一例です。
疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより
一層症状が早く改善されて行きます。
針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 


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