鍼灸治療体験談



                    (三鷹台在住 女性の場合)

 世の中には、慢性的な頭痛(片頭痛、頭頂痛、後側頭痛)に悩まされている方が数多くいらっしゃいます。しかもはっきりとした原因が分からず、薬を長期的に服用しても効かず、更には段々と強い薬効の薬を服用する様になったりで、精神的に不安を抱えながら生活されている方もいらっしゃるようです。
 “頭痛”は頭の疾患ですから、長く続けば不安にもなるのも当然です。また「生命の危険におかされているのではないか」という精神的な負担を負わされるわけですから、これほど嫌なものはありません。
  逆に、原因の分かる頭痛もあります。それは、首の骨の異常や精神的ストレス、ムチウチ症などによる頭痛です。現代ではコンピューターの使いすぎによる眼精疲労から来る頭痛もあります。また、体の芯が冷える事でも起こりますし、職業的な姿勢から来るものなどもあります。

●● 一般的な頭痛の種類は? ●●
 頭痛は全体の9割以上に、その原因となる病気がありません。この様な頭痛を原発性頭痛(げんぱつせいずつう)と言います。この 原発性頭痛には3種類あります。
緊張性頭痛片頭痛群発性頭痛の3つです。
また原発性頭痛の9割以上は、緊張性頭痛の方で占められています。

 緊張性頭痛とは頭部に鈍痛を感じたり首、額、肩に緊張感や圧迫を感じる頭痛です。
  応急処置としては、マッサージ、温湿布や蒸しタオルを患部に当てるなどで、これで幾らか痛みが緩和します。
 
 片頭痛
頭の片側に起こる頭痛です。片頭痛を起こす方の中には、視力の変化が生じる方、顔、或いは体の片側がチクチクする前ぶれ症状を起こす方もいらっしゃいます。応急処置としては、片頭痛が起きた側に手を当て、さすると緩和して行く場合もあります。また、人によってはカフェイン(コーヒーやコーラ)を摂ることにより血管の拡張を抑え、頭痛を防ぐことが出来る方もいらっしゃいます。

  群発性頭痛片方の目の中と周りに穿刺痛が生じます。昼中や夜間の同じ時間に症状が出ます。 一日の決まった時間に出やすいですが、光や季節の変化と関連があるようです。また、ヘビースモーカーや大酒呑みの方がかかりやすいです。

 

注意をしなければいけない頭痛

 ※ 突然発症して痛みが激しい時
 ※ 発熱、発疹、発作、複視、脱力感、しびれ感、
   話すのが困難になる様な症状が随伴する時
 ※ 頭部障害、衝突、転倒後悪化したとき
 ※ 中年以降で始めて激しい頭痛が起きた場合

中国医学の頭痛の考え方
 中国医学では、器質的な病変が無く頭痛が起こっている場合、 その頭痛の起きている場所を分別し、そこと関係のある経絡と言うエネルギーの流れ道は何かということを考えていきます。
  頭頂部
の場合ですと、と言う臓腑のエネルギーが流れていると言うことをまず察します。 片頭痛ならという臓腑のエネルギーが流れていますし、後頭部痛なら膀胱の臓腑のエネルギーが流れています。前頭痛ならの臓腑のエネルギーが流れていると考えます。そして、これら各部位 によって臓器エネルギーに何かが出たのではないかと考えます。そこからさらにこまかい問診を行い、原因を追求して行きます。
 例えば原因がT冷えUならば、冷えた為にエネルギーの通り道が硬くなり、エネルギーが通 らなくなって痛みを発生させていると考えられます。ですので、体を温めて冷えを改善し、エネルギーの通 り道を確保していきます。そうすることでエネルギーの流れがスムーズになり、痛みが緩和していきます。
  またTストレスUによる頭痛の場合は、頭頂痛片頭痛が起こりやすくなります。というのは、肝と胆の臓腑はTストレスUを嫌がります。肝と胆の臓腑はストレスを感じると「気」のエネルギーの流れを停滞させてしまいます。その為、肝と胆のエネルギーの流れ道に「気」の渋滞が起こり、「気」が通 らなくなり、痛みが生じるのです。
 この場合は、ストレスを緩和する治療をしていきます。それにはリラックスさせ、「気」の流れがスムーズになる様な手当てが必要になります。要するにTストレスUが緩和できなければ、いくら薬を服用してもなかなか頭痛が改善されない、或いは慢性化してしまうと言うことなのです。


〈実際の治験例〉  三鷹台在住 J.Tさん 女性
 三鷹台在住のJ.Tさんは、後頭部から側頭部にかけての凝り感と偏頭痛(側頭痛)を訴えられて、当院へご来院されました。
 当院への受診は昨年(H15)7月からになります。当院を受診される前は、内科を受診され頭痛薬を頂いていたようですが、なかなか頭痛の症状が改善されなかったようです。そのうち薬の量 が増したり、薬が効かなくなって来たため、不安がつのり、HPで当院を知り、来院されました。
 受診当初は、毎日の様に偏頭痛を訴えておられました。また後頭部から肩、背中に掛けて凝りがひどい状態でした。体型は痩せ型で、食欲不振であること、時々臀部から下肢に放散痛、しびれる様な痛みがあること、冷えに弱いとの自己申請をしておられました。
 脉診(みゃくしん)、舌診(ぜっしん)をした所、脉(みゃく)は弱く遅く、舌質は淡紫紅でした。これらは中医学的には、活力エネルギーが不足し、体が冷えていることを表しています。 活力エネルギーが不足していると、体調を整える力が不足する為、薬などを服用しても、なかなか症状が改善されにくくなる場合があります。J.Tさんはそれに当たる様でした。また、仕事上パソコンをよく使用するため眼精疲労もあり、そのために肩から背中にかけて凝りが出ていたのでしょう。
 最初のワンクール(10回の治療)は週2回、仕事が忙しい為、週末の土日に治療を受けて頂きました。まずは体全体の活力を補う手当てと、慢性疲労の手当を行いました。また、腰回りの筋肉を緩める手当てをし、下肢の痺れが改善される様にしました。 4〜5回の治療を受けた後は、腰が軽くなり臀部から下肢への痺れは段々と緩和されて来たようでした。7〜8回目位 から、首、肩、背中のこり具合は改善されてきましたが、頭痛のための鎮痛剤はまだ服用されていました。 12〜13回目あたりから鎮痛剤の服用を減らせる様になり、16回目以降からは、治療は週に1回となりました。そして治療を始めて20回目位 からは、鎮痛剤を服用しなくてもすむ様になり、治療の間隔も2週間に1度になりました。
 ご本人も、頭痛が抜け、今まであった不安感もなくなり、精神的にも前向きな気もちが持てる様になった。体調も良くなり、冷えも緩和し、体全体に元気が出てきた。何よりも薬を服用しなくてもすむ様になった事が一番嬉しかったとおっしゃっていました。現在も体調維持の為、2〜3週に一度当院で受診されています。


                   (武蔵野市在住 男性の場合)

 現代医学的な考えでは、「痔」疾患は痔核、痔裂、痔瘻(じろう)などに分けられ、それぞれに根治療法は異なってきます。
 痔核は直腸静脈の拡張によって起こり、主としてうっ血を起こすことが原因です。 便秘、妊娠、座薬なども、症状を起こす原因につながります。 痔核の出血や血栓、殺傷過度、脱失の場合は、外科的な施術で改善されることが多いです。
 切れ痔とも言われる痔裂は、食事の改善、坐浴などにより保存的改善が見られますが、根治(こんち・根本から完全に治す事)はやや困難です。
 痔瘻(肛門の周囲に管状の穴があき、膿(うみ)などの出る症状)は肛門周炎と共に悪化することが多く、細菌感染によって更に悪化する性質を持っています。皮下、粘膜下、坐骨、直腸腔など、それぞれの部位 によっても予後は異なってきます。外科的な施術を施しても再発することが多く、根治は至難です。


中国医学の痔疾患の捉え方 
 さて、中医学は「痔」疾患をどう捉えるのでしょうか?
 一般に「痔」と呼ばれているのは、内痔核外痔核裂肛脱肛などの総称であり、病態はそれぞれ異なります。 中医学の治療に際しては、自他覚症状によって、病態の起因を判断し手当てを行なって行きます。
 痔疾患はいずれの場合も、肛門周辺の静脈の異常なうっ血によって起こるものですが、中医学的には、これをお血(血流が停滞し、うっ血している状態)の一症状として捉えます。しかし大事なのは、「お血に至るのは何なのか」を判断し治療を行なうことです。
 体が冷えて血流が低下している体質がT寒タイプU。日頃から疲れやすく血流を押し流す力が不足しているのが、中医学的にはT気虚U(ききょ・活力推進力の不足)と判断します。あるいは、慢性的に香辛料を摂り過ぎて体内に熱がこもり体液を蒸発、気化し過ぎて血液が濃くなり、血流の悪化で「お血」になってしまうといったことや、慢性的なストレスにより、気の流れが悪化し、気の渋滞を起こし、その為に「お血」が悪化するというような場合もあります。この場合は気滞お血といいます。
 このように、「お血」症状になるのは様々な起因があります。、その起因に対しての改善が痔疾患根治につながります。一時的に「お血」症状だけを改善しても、もとの起因が改善されていないと、また「お血」症状を起こしやすくなってしまいます。「 お血」になり、肛門周辺の静脈がうっ血を起こすと、痔疾患が再発、という事を繰り返してしまうことになるのです。ゆえに「お血」症状の根治は大事なことだといえます。
 
〈実際の治験例〉 武蔵野市在住 H.Yさん 30代男性
 H.Yさんは、日頃から食が細く冷えやすいタイプの方でした。発症の起因は天候が寒くなってきたことで体が冷え、それにより症状が悪化し、痔核が飛び出してきたようです。当院へは、以前に食欲不振で受診されたことがありました。その後も年に何回かケアに来られている方でしたので、鍼治療で痔の症状を治したいということで受診に来られました
 中医学的診察を行なった所、脉(みゃく)が遅く、舌の色が淡紫紅でした。これらの反応は体のエネルギー不足を意味しています。 H.Yさんはもともと食が細い為に、中医学で言うT後天の気U(食べ物からエネルギーに変え活力にする)が不足気味なのです。そのため、天候が寒くなり体を温める方にエネルギーが消耗してしまい、ウィークポイントに症状が出てしまったのでしょう。 そして中医学的な考えでは、気を上の方に向かせるエネルギーも足りなくなった為に痔核が出てきたと考えました。
  H.Yさんの場合、日頃から食欲が細い、この事に起因がある様です。 中医学では食欲の細い方は、「脾胃虚弱」、「脾気虚」、「脾気下陥(中気下陥)」という証のタイプの方に多く見られ、中でも脾気下陥というのは、本来、気のエネルギーが上に昇って行かないと行けないのが上がらず、下がってしまった状態の事を指します。この様になると脱肛や胃下垂、子宮下垂と言った「下垂傾向」の症状が出やすくなるのです。 H.Yさんは「気虚」と「脾気下陥」と「お血状態」が症状を引き起こしたと考えられました。

 まず頭と局所と手足に鍼を打ち、局所の近くにも鍼とお灸を据えました。痔だからと言って肛門の周りだけに治療を施すのではありません。根治を目指しているので全体的にケアを行ないます。
 このような治療で、下がっているエネルギーを持ち上げる様にしました。そして大腸の働きを改善し、局所の冷えを取り除き、血流の改善を促していきました。それにより食欲が増す様に行っていきました。このようにして1回目の治療より2回目、2回目より3回目と、治療の回を追うごとに症状が改善し、段々と痔核が小さくなって行きました。そしてそれにともなう痛みも緩んで来たようです。
  最初は、立ったり座ったりの動作がつらかった様ですが、3回目位からは、その動作も楽になり、歩行もしやすくなっていきました。4回目位 から、正常に戻りつつあり、食欲も出てきて痔核も上がってきたとのことです。8〜9回には症状はほとんど緩和し、トータル12回の治療で痔の症状が全て改善しました。
 その後は食事の指導を行い、家庭で定期的に養生の灸を行なって頂いているので、痔の症状は落ち着いている様です。
 「鍼灸で痔の疾患を治そう」というイメージは、なかなか湧かないかも知れません。しかし体質判断をしっかりし、タイプ別 起因の手当てをしっかり行なえば、鍼灸治療はかなり有力な手当てになると思います。治験例でいつも申し上げているのですが、中医学で大事なのは、なってしまった症状の手当てだけを行なうのではなく症状になる素因、体質を改善して行く事と体を整える力(自然治癒力)を治療時に同時に行なうということなのです。



 また痔疾患になる方は、全体を通 してみますと便秘傾向の方が多いように見受けられます。「クルミ黒ゴマ」などは干燥便の常習便秘によいとされていますので、痔や便秘でお悩みの方は毎日の食事の中に意識的に取り入れてみてはいかがでしょう?
 例えば一例を挙げますと、クルミ60gに対してゴマ30gをすって混ぜ、毎朝或いは夜寝る前に、大さじ一杯を湯で溶いて飲まれると良いでしょう。
ハチミツを小さじ一杯入れるとより効果的ですね。

  その他にも普段の生活の中で、ジャガイモ、サツマイモ、ニラ、ゴボウなど繊維の有るものを多く摂る様に心掛けると良いでしょう。アロエを5cm位 すり下ろして、ハチミツと混ぜて飲むのも良いですね。飲みにくい方は多少お湯で溶いても良いですよ。
  症状の緩和のためにも、是非お試しになってみて下さい。

 

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