鍼灸治療体験談


(40歳 会社経営の男性の場合)

 アレルギーとは、異物(アレルゲンと呼ばれます)に対する体の免疫系の反応を言います。この反応には、発疹、うっ血、喘息がおこるなど、様々な形があります。時には、まれにショック状態におちいることもあります。よくあるアレルゲンは、花粉や昆虫の毒などですが、 ここでは、花粉のアレルギー症状についてお話ししたいと思います。

  毎年、同じ季節に目のかゆみ、涙目、鼻づまり、鼻水に悩まされることはありませんか?これは、いわゆる「花粉症」と言われる症状です。
  「花粉症」が発症しますと、アレルゲンと呼ばれる花粉ペットの鱗屑などの物質に接触することによって、体内で免疫グロブリンE(IGE)という抗体が生産されるようになります。このIGE抗体は、眼や気道の内側の層、鼻の粘膜にある免疫細胞に働きかけて、ヒスタミンと言う炎症性の物質を放出させます。放出されたこれらの化学物質が体に悪さをして、アレルギーの症状を引き起こすのです。そして、目のかゆみ、充血、鼻づまりや鼻水、くしゃみ、咳といった症状を発症させます。これが、西洋医学で捉える花粉症です。

< 花粉症はどうやって見極めるのでしょうか? >
 ●自覚症状の確認
  ・くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の充血、痒みなどが有るかどうか。
  ・症状に季節性があるかどうか。
  ・春だけに出るのか、或いは秋はどうか。
 これらの症状があり、しかも特定の季節だけに症状が発症するのであれば、花粉症が疑われます。
  ●検査方法
  ・皮膚反応テスト、皮内注射法
  ・血液の採血で、特異的IGE抗体量の測定によるアレルゲンの確定など。


  それでは、中国医学(東洋医学)では、花粉症をどう捉えるのでしょうか?
  体内の生命エネルギーのバランスの崩れを診る中国医学では、検査数値うんぬ んより、まずは体が起こしている症状を診、病気を考えて行きます。
  例えば、「鼻水は寒冷刺激で出たり、無色透明で粘りがなく、水様状。寒がりで厚着をする。手足が冷えやすい」という方の場合、症状に寒冷に関することが多いので、鼻水などが無色透明で水様状になるのだと考えます。ですから、タイプとしては「寒証」タイプの花粉症となります。この症状の治し方として、体の冷えを改善して行く手当てと、体力をバックアップして行く手当てを併せて行い、免疫力を高めてあげる治療をしていきます。
  逆に、「手足が火照り、鼻水は黄色く粘りがあり、目に充血感と乾燥感があり、痒みがある」という方の場合は、同じ花粉症でも、前者で述べたのとは明らかにタイプが違うと考えられます。この方の場合は「熱証」タイプに属します。ですので治し方としては熱を取る治療を行ないながら、免疫力を高める治療をし、体質改善を促して行きます。
 そのほかにも色々なタイプの花粉症があり、個々の花粉症患者によって治療方法は異なります。同じ「花粉症」という病名はつきますが、必ずしも、治し方、手当ての仕方が一律同じではないのが中国医学の治療の特長です。
 それでは、実際の治療された方について、お話したいと思います。

 < 治療例 >
  会社経営をなさっている、40歳の男性の方です。
  病歴は長く、30代になってから、毎年春先になると、くしゃみ・鼻水を繰り返しておられたそうです。それでも、最初の数年は症状的には軽かったそうで、売薬を服用することで治まっていました。しかし、段々とそれも効かなくなり、耳鼻咽喉科を受診。薬をもらって服用されていたのですが、とうとうそれも効いたり効かなかったりになってしまったということでした。当院へは、過去に当院の治療で症状が改善された方に紹介され、受診されました。
  お話を詳しく聞いてみると、ここ数年症状が徐々に悪化し、鼻水が一年中続くような感じになったということでした。また、毎年2月から5月くらいにかけての症状が一番ひどく、鼻をかんでも鼻水が止まらず、体を冷やしたり、冷たい風などに当たったりすると、余計にひどくなり、水様状の鼻水が流れ出る感じだということでした。睡眠不足や仕事が忙しくて疲れたりすると、やはり症状が悪化しやすい傾向にあるということでした。
  診察で舌を出して見せてもらった所、色は淡紫でぼてっとふくらみ、舌の上に水がコーティングされている様な状態でした。脉(みゃく)を取って診た所、力が弱く遅かったので、この方の花粉症は、風寒陽虚症タイプと診断を下しました。そこで、体を温める力を蓄えていく治療と、毛孔を引き締めていく手当てを行ないました。
  この方の場合は、体を温めて行く力が年々弱くなることによって、体内にある水分代謝能力が低下し水分を気化する力が衰えたため、水様状の鼻水が止まらなくなったと考えられました。ですから、舌の色が淡紫で、ぼてっと膨らんでいたのです。それと、毛孔を引き締める力が弱い為に、冷たい風に当たることで症状がさらに悪化したのでしょう。

 だいたい 週二回のペースで、20回ほどお手当てを行なったところ、段々と体も元気になり、疲れも生じなくなられました。舌の色も赤みが出てきて、鼻水も水様状の鼻は出なくなられました。なるべく体を冷やさないよう注意して頂き、普段は背中の方、頚椎の出っ張った大きな骨の下の辺りにホカロンを貼るよう様指導しました。また食事も体を冷やすものはなるべく取らないよう指導いたしました(当HPの「楊志成先生のちょっとためになる話し」の中に食物の性質表がありますので、興味のある方はご参考にどうぞ。クリックするとジャンプします)。こうして食事療法もしながら、体質改善を図ることで、体調を整えて行きました。
  この方は、その後2〜3年の間、早め早めにお手当てをして予防治療を受け、今では花粉の症状はほとんど起こらなくなりました。
  ここで大事なのは、薬がなぜ効かなくなってきたかを考えることです。おそらくその原因は、お話しいたしましたように、体を温めるパワーが徐々に不足していくことによって、体を整えることができなくなったためだと考えられます。ですから、 「鼻水」などの出てきた症状のみに対処するお薬だけでは症状を抑えきれなくなったのでしょう。「冷え」という根本にある体質を把握して、そこから改善を促していって上げることは、病気を治療する上ではとても大切な事なのです。

(三鷹市 Y.Tさん 男性の場合)

 坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・脊椎間狭窄症
 この3つの疾患は似ていて非なるものです。原因は皆別々ですが、体に起こる症状は似ています。臀部から大腿・下肢に向けて神経が有るラインに沿って痛みが出る、神経痛の症状です。痛くしびれるような感じの症状がおこります。
  脊椎狭窄症は、長く歩行することが出来ないのが特徴です。5分位 歩くと立ち止まりたくなり、腰を押さえたくなります。
 椎間板ヘルニアは、腰痛と挫骨神経痛が伴います。具合の悪い時は腰部に激痛が起こります。
 坐骨神経痛は、臀部から大腿・下肢に沿ってある神経が、何らかの原因で炎症や圧迫を起こして、痛みを誘発している状態です

 これらの症状の原因は、腰部周りの筋肉が張って、神経を圧迫しているケースが一般 的です。ですが、腰・臀部周りの筋肉が張ってしまう原因は様々で、冷えから来る方もいれば、慢性的な筋肉疲労からくる方もいます。例えば、長時間の立ち仕事をされている方などは、腰の筋肉がいつもつっぱっている状態で、緩むことが出来ませんので、坐骨神経を圧迫し、神経痛を起こしてしまう事があります。
  坐骨神経痛の場合、一般的な腰痛は伴いません。若干腰周りが張っている感じはありますが、臀部に鈍痛を起こすケースが一番多いようです。そして、大腿の外側や裏、下肢の外側や第一趾の近くに、痛痺れるような症状が出る方もいます。また、鼠径部に鈍痛が出る方もいます。痛みの出方は人によって様々で、腰背部と臀部の筋肉の張り具合や、硬張感のある部位 によって、痛む場所が違ってきます。

 < 治療例 >
  三鷹市在中の男性、Y.Tさんの体験例です。
  Y.Tさんは、03年5月初旬に、当院へ受診されました。
  症状は、半年位前から、右側腰部の張りと右側臀部に鈍痛を感じていたそうです。整形外科を受診しましたが、骨に異常はなく、坐骨神経痛でしょうと言われました。冷湿布薬を投与され、1ヶ月ちょっと服用したり冷湿布を張ったりしていましたが、症状が変わらず、不安になったため当院を受診されたそうです。
  当院で細かく問診いたしましたところ、普段の生活の中で、接待などでアルコールを多量 に飲まれる事があり、また体が冷えやすく下痢を起こしやすい体質であることが分かりました。また、腰は前屈しずらく、痛みが臀部に出やすいという事でした。腰を前屈しずらい場合は腰背部の筋肉が張っているケースが多く、Y.Tさんの場合は、冷えやすいということもポイントになりました治療には、腰臀部をほぐす手当てと、体を温める治療が必要でした。ただ単に、痛みをおさえるだけの鎮痛剤や、体を冷やす冷湿布が効かなかったのはそのためだったと考えられます
  中国医学的な診察では、舌の色が淡く、紫色 、舌の上に津液が多くありました。これは体内の水分が冷えによって気化(蒸発)されない状態を意味します。また、体内に余計な水分がある為、下痢によって水分を出そうとしているのです。体が冷えているために、体温を逃がさない様にしようと、体がいつも引き締まった状態となり、Y.Tさんの筋肉は硬張しやすくなり、結果 的に坐骨神経を圧迫して痛みが続いてしまったのです。
  治療は、腰臀部の筋肉をほぐすツボと、体を温めて下痢の症状を改善するツボと、鎮痛効果 を出させるツボを処方し、治療を行ないました。最初の内は、週二回位 のペースで来て頂き、6回目の治療後位から体が温まる様になり、下痢も緩和しました。それに伴い腰臀部の筋肉の張りもほぐれ、前屈姿勢も取り易くなり、臀部の鈍痛も緩和されてきました。その後も週一回のペースで4〜5回受けて頂き、下痢の症状も大分おさまり、臀部の鈍痛も無くなり、体調も気分も良くなられました。現在は予防養生の為に、だいたい10日から2週間置きに来院され、体のお手当てを受けられています。
 

< 痛みが強い場合(腰痛、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛)>
  睡眠の姿勢は、横向きで寝る場合、患側を上にして、エビのようにちょっと腰をまるめると、少々痛みが緩和します。そして、脚に枕を挟んで寝ますと、楽にお休みになれます。
 仰向けで寝る場合は、膝裏に枕を入れてあげますと、腰の負担が軽減します。首のほうは、ほど良く高さをキープして下さい。 背中と腰部に問題を抱えている人は、定期的に体操する事が大事です。 ただし、痛みのある場合は行なわない様に気をつけてくださいね。

  <注意しておかないといけない運動 >
  背中、腰部の具合の悪い人は、急激な停止や開始、あるいは盛んにからだをひねる動作を取り入れた運動は避けて下さい。
  堅い表面の上で行なう衝撃が強いスポーツ、ジョギング、テニス、ラケットボール、バスケットなどは背骨をさらに傷めることがあります。
  ゴルフも、腰に負担を掛けますので、あまりおすすめ出来るスポーツではありません。 良いのは背中を支える筋肉を強化する腹筋、背筋運動です。
  太っている方は、体重を落とすことにより、背中への負担が軽減して行きます。 
  以上のことを参考に、坐骨神経痛持ちの方は予防養生にも専念して下さい。

  今回の体験例でもありましたように、薬を服用してもなかなか症状が改善されない場合は、体質的な物や、体の自然治癒力や活動エネルギーが不足している場合がまれにあります。同じ病名でも、その人の症状によっては、薬だけを服用しても治りずらい場合があるのです。その様な時には、西洋医学と併せて、今回のように東洋医学的な治療を受けてみる事も選択肢の一つとして加えてみてはいかがでしょうか。結果 的に、長く患わずにすむ場合がございます。 長く患うと、その分精神的なダメージを受け、体のエネルギー消耗をしてしまいます。それがまた病を長引かせということもあるのです。
  このお話しは、どの様な疾患も対象になりますので、頭の片隅に留めて置いて頂けたら、と思います。

 

BACK NEXT TOPtop

home

| | | | | |

Copyright2002 by YANG CHINESE MEDICINE CLINIC .all rights reseserved.
This material may not be copied without written from
YANG CHINESE MEDICINE CLINIC.